業務プロセスを改善していく方法やツールにはさまざまなものがあります。
それらを効率的に利用することで業務効率、作業効率を高めていくことができるのですが、それらの中でも最初に行うべきとされているのが「業務の可視化」です。
業務の可視化を行うことで、現在行っている作業の問題点や改善点が見つかりやすく、効率化を進めやすくなります。
また、業務の可視化には他にもメリットがあります。
そこでここでは業務可視化ツールの特徴や導入するメリットについて紹介していきたいと思います。

業務可視化ツールの特徴

そもそも業務可視化ツールとはどういったものでしょうか。
業務可視化ツールとは、勤務している従業員がその勤務時間をどういったことに使っているのか、どの作業にどれだけの時間を使っているかを可視化したり、傾向を分析したりすることができるツールです。

一般的には従業員が利用しているパソコンやタブレットなどに操作ログを収集するソフトをインストールして、管理サーバーでそのログを収集してそれぞれの時間データをグラフ化したり、データ分析を行います。
例えばパソコンのWordやExcelなどを利用していた時間を収集していったり、キーボードをタイピングした回数をカウントしてグラフ化したりしていきます。
これらによってどういった作業をどれだけの時間していたのかを把握することができるようになるのです。

業務の問題点を改善していくためには、まずそれぞれの現状を正しく把握する、全体を把握するということが重要です。
しかし、接客業などと違ってパソコンを使用する業務は、どういった作業をどれだけやっていたのかが分かりにくいという特徴があります。
そこで、この業務可視化ツールを利用することでパソコン作業を主に行っている人たちの業務を可視化することができるのです。

業務可視化ツールはどんなものがあるのか…

業務可視化ツールにも色々な機能を備えたものがあり、できることが違っています。
目的に合わせて選ぶ際には大きく分けて2つの種類がありますので、内容を踏まえた上で選ぶようにしましょう。

業務の可視化を主に行うもの

こちらはどういった業務を行っているのかという業務の可視化を中心にしたものです。
管理者として、業務を行っている人がどういった業務を行っているのか、どれくらい時間をかけているのかということを知りやすくなっており、その問題点を見つけて改善しやすくなります。
全体の可視化を行うことで、業務内容が重複していないか、誰かに業務量が偏っていないかということを判断しやすくなります。

組織の全体を把握することで、それぞれのグループの生産性を知ることができ、向上することが可能となっているだけでなく、グループ全体、個人それぞれのストレスなどの分析もすることができます。
また、業務の可視化が行われることで従業員同士が他の人の業務内容や時間の使い方を知ることにもつながります。

管理機能を重視するもの

こちらは業務を可視化することで管理者が「さぼっていないか、不正行為をしていないか」ということを知ることができるという目的です。
パソコンのログを収集することで、社内の従業員がどれだけ仕事をしているかというだけでなく、テレワークをしている従業員がどれだけ仕事をしているかを確認することが可能となります。

新型コロナウイルスの流行によって大きく増加した「在宅勤務」「テレワーク」ですが、これにはいくつもの問題点が指摘されてきました。
・始業と終業のタイミングが曖昧になる
・勤務時間内であるが正常に業務をしていない
・勤務時間内だが外出してしまっている
といった点です。
業務可視化ツールの管理機能を使うことで、これらを明確にすることができるというメリットがあるのです。

また、管理機能の中には
・印刷履歴やデータ転送の履歴確認
・デバイスへの書き込み制限
・スマホにデータを保存することの禁止
などを行うことができるものあり、不正防止、情報漏洩防止を行うことも可能となっています。

業務効率化が向上?業務可視化ツール導入時のメリット

業務可視化ツールを導入することでさまざまなメリットが発生します。
ここではそのメリットの中でも主なものを紹介していきます。

個人の業務状況を把握し、正しく評価できる

上記でも述べましたが、業務可視化ツールを使うことで個人の業務状況を把握することが可能となります。
どれだけ売上をあげたかなどによって人事評価を行いやすい営業職と違って、事務系の仕事は人事評価の判断材料が曖昧になりがちだとされてきました。
「長くパソコンの前に座っている」「何か1つ目立つ仕事をした」というような基準で判断されてきたこともあったのです。
しかし、業務可視化ツールを使うことで、短時間の勤務時間でも効率的に仕事をしている人を把握しやすくなり、人事評価を正しくできるというメリットがあります。

問題点を発見して改善することができる

それぞれの業務内容が可視化されることで業務における問題点が発見されていきます。
特にルーティンで行っているような提携業務の場合は、どの部分を削ることができるのか、どこを改善することができるのかを分析することができるため、分析データを利用して問題点を改善していくことが可能となるのです。

また、管理側が業務を可視化することで、情報漏洩防止やセキュリティ対策がしやすいということもあります。

従業員の体調管理、メンタル管理ができる

働き方、業務に取り組んでいる時間を可視化することができるので、その人の体調管理、モチベーション管理ができるということもあります。
業務量の変化を見ていくことで、メンタルの状態を管理することができるのです。
テレワークの増加によって、同僚と職場で雑談したりする機会が減少したことでコミュニケーション不足が深刻化しています。
そうしたストレスを解消できるというメリットがあるのです。

業務可視化ツール導入時のデメリット(注意点)

業務を可視化できると色々なメリットがあるのですが、ツール導入時にはいくつかのデメリットや注意点もあります。
そこでここでは導入時の注意点について紹介していきます。

従業員がストレスを感じる場合がある

業務可視化ツールによって、従業員それぞれがどういった仕事をどれくらいの時間をかけて行っているかが把握されるようになります。
それはメリットでもありますが、そうした監視をされるということを嫌がる従業員もいます。
常にツールによって管理されていることでストレスを感じるということがあるのです。

仕事の基準を作る必要がある

業務可視化ツールをうまく利用していくためには、「この仕事であればこれだけの時間で完了させる」といった目安や基準を作っていくことが必要となります。
そうした基準やマニュアルがすでにあるのであれば問題ありませんが、ないという場合にはそうした目安や基準、マニュアルを作成する必要があります。

導入コストがかかる

こうしたツールは利用することで、業務の効率を上げたりすることができるのですが、導入時に費用がかかるだけでなく、月額使用料のようにランニングコストがかかることがあります。
あらかじめ、どれくらいの予算を組む必要があるかを調べておくと良いでしょう。

業務可視化ツール選定時のポイント

近年、多くの運営会社から業務可視化ツールのサービスが展開されています。
それらの中から自社に最適なものを選んでいく必要があります。
ここでは業務可視化ツールを選ぶ際のポイントを紹介していきます。

導入する目的をはっきりさせる

業務可視化ツールにはいろいろな種類があります。
可視化に特化したもの、分析を中心としたもの、管理や監視に特化したものなどです。
それらの中から自社の目的に合ったものを選ぶことが重要となります。
まずは自社の導入目的をはっきりさせると良いでしょう。

コストパフォーマンスが良いものを選ぶ

ツールを導入するには費用がかかります。
性能が良い、多くの機能を持ったツールはそれだけ費用が高くなる傾向があります。
自社に必要な機能を備えているものを選び、コストパフォーマンスを意識して選びましょう。

自社のシステムに合ったものを選ぶ

業務可視化ツールを導入する際に、自社の他のシステムと連携しやすいか、自社の従業員が使いやすいものかということを考える必要があります。
操作が難しい、処理が複雑である、自社の他のシステムと連携できないといったツールを導入すると、せっかく導入しても使えないものとなってしまうからです。

どんな利用方法がある?業務可視化ツールの効果的な活用方法

業務可視化ツールを導入することでメリットで挙げたようなことが可能となるのですが、その他にも効果的な活用がなされています。
ここでは業務可視化ツールの効果的な活用方法を紹介していきます。

まず、現状がどのような状態で業務がなされているのかを把握することができます。
そしてそこから「BPM」へと発展させていくことが可能となります。
BPMは「Business Process Management(ビジネス・プロセス・マネジメント)」を略したもので、業務のサイクルを効率的に回すことで、業務効率を高めることができるものです。

また、企業によっては定型作業をAIロボットに任せて自動化していくことも行われています。
これを「RPA」といい、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略となっています。
AIロボットに業務を任せる際には、まず業務の可視化を行うことで、どの業務を任せるのかを判別していく必要があるのです。
このように業務の可視化を行ったのちに、それをさらに活用していくことも可能なのです。

業務可視化ツールのまとめ

業務の可視化は業務効率を改善していく一連の流れの中でも入り口とされているものです。
まずそれぞれの業務を可視化して問題点を発見したり、業務内容を分析したりするところから始めることが重要なのです。
まだ導入をしていないという場合は、無料体験などを利用して一度試してみましょう。