インターネット上のサービスの多様化が進む昨今において、ユーザーのサポート体制の重要性は日に日に高まりつつあります。
システムや提供するサービスが複雑化すると、サポート窓口は各部門や部署に応じて異なる場合がありますが、ユーザー目線で考えると効果的とは言えません。
ユーザーは問合せたい内容がどこにあるか分からなかったり、質問事項に応じて別のサポート窓口に案内されると、気持ちが萎えてしまいサービス自体の不信感にもつながってしまいます。
このようなユーザーからの様々な問合せに対して一元管理して対応する仕組みがサービスデスクとなります。
サービスデスクは、ユーザーからの質問に応じて担当部署が分かれるわけではなく、窓口を一元管理することができるため、サービス向上に伴う顧客満足度の向上が期待でき、且つサポート業務の効率化にもつなげることができるため、多くの企業から注目されています。
とはいえ、サービスデスクを導入しようと思っても、自社内の体制を整備し正しく運用していかなければ失敗に終わる可能性も存在します。
実際、「サービスデスクって何?」「ヘルプデスクやコールセンターと何が違うの?」「どうやって導入したらいいのか分からない」と悩まれる担当者も少なくありません。
ヘルプデスクやコールセンターは、サービスデスクと似通ったサービスとなりますが、対応範囲や概念など異なる部分も多々あります。
そこで今回は、サービスデスクの概要をはじめ、ヘルプデスクやコールセンターとの違い、導入する上でのメリットなどについてポイントを中心に紹介していきます。
サービスデスクとは?
そもそもサービスデスクとは、自社の商材やサービスにおける使用方法やトラブル時における対応、契約内容の確認など、ユーザーからの様々な問合せに対して受け答えを行う業務を行う部署のことを指します。
対象は既存顧客に限らず見込顧客や一般ユーザーも含められ、ユーザーからの問合せ対応以外にもプッシュ型による新商材や企画イベントなどの情報発信や、既存顧客向けの満足度調査やアンケートなども行います。
商材やサービスに関する様々な問い合わせに対応するため、専門的な知識やスキルを持った担当者でなければなりません。
サービスデスクの4つの種類
このサービスデスクは、管轄となる部署がどこに位置するかに応じて大きく4種類に分類できます。それぞれの持つサービスデスクの役割について紹介していきます。
①ローカルサービスデスク
ローカルサービスデスクは、自社の公式ホームページや企業・店舗の中などで、比較的ユーザーと近い位置が対象となるサービスデスクのことを指します。
ユーザーとの距離が近くなるため、密接なコミュニケーションを取りながらサポートすることが可能になります。
ユーザーからの問い合わせ内容によっては、自社の担当者や責任者をアサインすることも可能なため、問合せのニーズをはじめ商材やサービスの改善ポイントなども効率的に把握することができます。
②中央サービスデスク
中央サービスデスクとは、一つの拠点で問合せ対応を行うサービスデスクのことを指します。1カ所でまとまって対応できるため、情報の一元管理だけでなく少数精鋭でサポートを行うことができ、且つ拠点を別途用意する必要が無いことからコストを抑えた対応を行うことが可能です。
③バーチャルサービスデスク
バーチャルサービスデスクは、複数の拠点で行うサポート体制を一つの窓口のように集約したサポートデスクのことを指します。
専用アプリやネットワークシステムを活用し、別々の場所にいるスタッフをつなぎ、一つのサポート窓口としてユーザーに見せることができます。
昨今の働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、在宅ワーク(テレワーク)が普及しつつある中で、バーチャルサービスデスクの注目度は高まってきています。
④フォロー・ザ・サン
フォロー・ザ・サンとは、国内で対応しきれないサポート対応などを、海外の拠点を活用することで24時間365日対応可能にしたサービスデスクのことを指します。
時差を上手く活用することで、急な深夜帯でのユーザーからの問い合わせに対しても対応することが可能になります。
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サービスデスク・ヘルプデスクの違いとは
ここまでサービスデスクの概要について紹介してきましたが、サービスデスクと似通った用語として、ヘルプデスクとコールセンターというものも存在します。これらは一見すると同じサポート体制のことを意味するように思われますが、厳密には異なります。
①ヘルプデスク
ヘルプデスクとは、問合せ対応を行う点はサービスデスクと同じですが、専門外の問合せがユーザーから来た際には別の部署や部門に引き継ぐサポートシステムのことを指します。
対応できる範囲が決まっており、それ以外は他につなぐ点がサービスデスクと大きく異なります。
一次受付としての意味合いを強く持つ点がヘルプデスクの特徴となります。
②コールセンター
コールセンターは、問合せ対応だけでなく自社の商材やサービスにおける営業活動も一緒に行うサポートシステムのことを指します。
ユーザーからの問合せ対応よりも見込顧客に対する電話などによるアプローチがメインになることも多く、その点がサービスデスクと異なります。
サービスデスクは、ヘルプデスクとコールセンターの両方の意味合いを持つため、より幅広い業務を担っています。そのため、ヘルプデスクやコールセンターに比べてより専門的な知識やスキルも必要となります。
サービスデスク導入前の企業が抱える課題
自社の商材やサービスにおいて、ユーザーとの接点は出来る限り少ない人数で対応した方が効果的です。
例えば、コールセンターが問合せを行い、それに対してユーザーから質問を投げかけた際に、コールセンターで分からずヘルプデスクが間に入って対応するなど行っていると、ユーザーは誰に相談すればいいのか分からず迷ってしまうことになります。
問い合わせに迷ったユーザーは、商材やサービスに対しても不信感を感じてしまい、顧客満足度が大きく低下する可能性が高まります。
このようなリスクを軽減させるためにも、問い合わせ窓口は出来る限り一つに集約し、サービスデスクとして一元管理できると効果的です。
サービスデスクの導入には高い専門知識やスキルが求められますが、これが構築できれば顧客満足度が向上するだけでなく、自社の業務効率化にもつなげることが期待できます。
サービスデスク導入のメリット・デメリット
続いて、サービスデスク導入のメリットとデメリットについても紹介していきます。
サービスデスク導入に関しては、先ほど紹介したように顧客満足度の向上や業務効率化などのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
デメリットは導入時の注意点として押さえておくと効果的です。
サービスデスク導入のメリット
まずサービスデスク導入におけるメリットですが、大きくは以下の3つが挙げられます。
①顧客満足度の向上
まず挙げられるのは顧客満足度の向上です。サービスデスクは、ユーザーからの様々な問合せに対して一元管理して対応することが可能です。
そのため、ユーザー側としては複数の窓口が出来る心配がなくなり、一つの窓口で不安や悩みが解決できるため、伝え間違えや認識のズレが起こりにくく、満足度の向上にもつながります。
②サポート対応における業務効率化
サービスデスク導入に伴い、ユーザーからの問合せを一元管理できることは、企業にとっても業務効率化につながります。自社の商材やサービスによってはサポート範囲も複雑化し、ヘルプデスクやコールセンターでは賄いきれない点も多く存在します。
そのような場合にも、様々な問い合わせ内容にもワンストップで対応できるサービスデスクの導入は、業務効率化に大きく期待できます。
③ナレッジの共有・管理
また、サービスデスクの導入は、ユーザーからの問合せをはじめ相談事項やクレーム内容といった情報を一元管理できるため、その後の受け答えや解決策を社内でナレッジとして溜めることが可能です。
情報共有がスムーズに進むようになれば、ユーザーへの対応も迅速に行うことができるようになり、①の顧客満足度の向上にもつなげられます。
このようなナレッジをマニュアル化しやすくなる点も、サービスデスク導入のメリットの一つとなります。
サービスデスク導入のデメリット
一方で、サービスデスク導入のデメリットについても紹介していきます。
①システムやインフラの整備が必要
サービスデスクの導入に際し、ただ人員だけをアサインすればいいという訳ではありません。ユーザーからの問合せを受け付けるシステムや応対用の電話やメールの設置、画面上でのやり取りを行う際には専用ツールやアプリの導入など、システムやインフラ回りを整備しておく必要があります。ま
た、ネットワーク回線を活用するのであれば、サーバーや回線環境の整備を整えておくことも重要です。
②対応スタッフの知識やスキルの向上
サービスデスクには、ユーザーからの質問だけでなく、時には厳しい意見やクレーム対応なども存在します。
これらに対応していくためには幅広い知識とともに丁寧にユーザーとコミュニケーションを取るスキルが求められます。
専門的な知識やスキルを持ったスタッフであっても、全てを網羅して対応していくためには継続的な能力向上とともに経験も必要になってきます。
このあたりのケアもサービスデスク導入には必要になります。
サービスデスクまとめ
いかがでしたでしょうか。
サービスデスクの導入は、ユーザーからの様々な質問や疑問、要望に対してワンストップで対応できるシステムのため、顧客満足度の向上だけでなく、情報を一元管理することによる業務効率化にもつながります。
とはいえ簡単に導入できるものではなく、知識やスキルを持ったスタッフとともに社内システムやインフラ整備も必要になります。
ただ、商材やサービスの多様化に伴い、多くの企業がサービスデスクに注目を集めています。今回紹介した内容も参考に、一度自社のサポート体制を見直した上で、サービスデスクの導入も検討してみてはいかがでしょうか