原価管理とは、「製品」「顧客」等にひもづけて材料費、労務費、外注費などの原価を算出し設定したり、実績と比較して問題点の分析などを行い、対策を立てて利益を改善することを指します。コストマネジメントとも呼ばれています。原価管理は経営判断をする上では非常に重要な指標となります。
そこでここでは「原価管理システム」の機能や導入メリット、選定ポイントなどについて紹介していきたいと思います。
また、いくつか資料もご紹介しておりますので、興味がありましたら是非ダウンロードしてみてください。

原価管理の重要性

企業が利益を出すためには、原材料費や製造コストなどの原価を正確に把握し、管理していく必要があります。そして、利益を大きくするためには、マーケティング・ブランディングによって売上を伸ばすことだけでなく、原価を下げることも重要な取り組みです。
原価を正確に把握することで、正確な損益分岐の把握も可能になり、それによって利益の最大化を実現できるようになります。

しかしながら、原価はその時々で変化していくものです。昨今の情勢、伝染病、そして日本においては特に地震といった自然災害など原価が大きく変化するトリガーはたくさん存在します。
「いつの間にか原価が上がっていて、利益が減ってしまった」といったことも起こりうるのです。
そのような場合に適切な原価管理を実施できていれば、スピーディーに対応できるようになります。
その為原価管理は会社を運営していく中で非常に重要であるといえます。

原価管理システムとは?

原価管理システムとは、複雑な原価計算、予算と実績との比較をする差異分析、損益分析などを含めた原価管理を行うことができるシステムを指します。
原価管理を行うためには、販売管理システム、会計管理システム、生産管理システムのデータも必要となりますので、それらのシステムと連携して利用するのが一般的となっています。
迅速で的確に原価管理を行うことで、経営判断に活かしていくことが可能となります。

原価管理システムの利用目的

原価管理システムを利用する上での利用目的は下記の4点が挙げられます。

Excelでの原価計算が複雑で処理も難しいため、負担を減らす

原価計算の精度が悪い時、実際の数値と差異を改善する

原価計算のシミュレーションを行う

収支管理を強化して、組織の生産性や採算性を高める

原価管理システム比較おすすめ

ここまで原価管理の重要性、原価管理システムとは何かなどを解説していきましたが、ここからは原価管理システムに関するサービスをご紹介していきます。
興味がある原価管理システムに関する資料があれば是非ダウンロードしてみてください。

プロジェクト型ビジネスに最適化されたERP(ZAC Enterprise) | 株式会社オロ

ZAC Enterprise(ザックエンタープライズ)は、Webブラウザを通じてプロジェクト収支から組織全体の利益管理が出来る、クラウド型ERPパッケージです。

1.月次決算の早期化
経理業務のシステム化により経理作業、月次決算を大幅早期化

2.システム統合による業務効率化
システム統合により重複入力を無くし、業務効率化、フロー標準化を実現

3.プロジェクト収支の可視化
プロジェクト収支を正確かつタイムリーに把握し、収支向上を実現

4.個別原価計算の自動化
労務費・間接費配賦など仕掛計算のシステム化により、原価計算を省力化

5.未来の売上・利益予測
営業の見込段階から情報を一元管理することで、フォーキャスト分析を実現

6.管理会計にもとづく経営判断
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原価管理の目的

では原価管理の目的とは一体なんなのでしょうかご紹介をしていきます。

利益を確保するために重要である

原価管理を行う上で最大の目的は利益を確保するために重要であることが挙げられます。
原価は一般的に想像される「原材料」だけではありません。商品を生産する上で関わってくる費用全般を指します。例えば原材料費や設備償却費、労務費、光熱費、人件費も原価となります。
この原価が商品の価格に対して高ければ、利益の割合は小さくなってしまいます。利益を多く生み出す為には費用を抑える必要があります。
そこで必要となってくるのが原価管理となります。原価管理によって、どのくらいの費用がかかったのかを把握できそれをもとに価格を設定することで利益を生み出すことが可能となります。

原価管理システムの種類について

原価管理システムにはいくつかの種類、タイプがあります。
大きく分けると「クラウド型」と「オンプレミス型」があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

クラウド型

こちらはインターネット環境を利用するタイプです。
すでに出来上がっているシステムにインターネットでつないで利用するというもので、比較的導入コストが安く、すぐに利用できるというメリットがあります。
また、アップデートやセキュリティ対策についても運営サービス側が行ってくれるので、手間がかからず、自社に専門的知識を持った従業員がいない場合でも安心して利用することができます。

しかし、インターネットで他とつながっているという環境なだけにセキュリティ面では不安な部分もあります。
運営側にセキュリティ面では依存することとなるので、どこを利用するか選ぶことも重要となってくると言えるでしょう。

オンプレミス型

こちらは自社でシステムを準備して利用するというタイプになります。
システム自体を自社で構築していくために導入コストが高く、手間や時間がかかるというデメリットがあります。
ただ、構築されてしまえば、独立して利用することができるのでセキュリティ面では自社で強化することができるというメリットがあります。
また、災害時などでインターネットが使えないといった際にも問題なく利用することができるという強みがあります。

原価管理システムの機能

原価管理システムはサービスによって備わっている機能が違っているのですが、ここではそれらの中でもメインとなっている主な機能を紹介していきます。

原価計算機能

原価を計算していくためには、固定費、労務費、製造費、調達費など多くの費用を計算していく必要があります。
また、原価計算の方法は一つではなく、標準原価、実際原価など色々な方法があるので複雑なものになりやすくなっています。
しかし原価管理システムの原価計算機能を使えばあまり手間をかけずに正確に計算をすることができるようになります。

原価差異分析機能

この原価差異分析機能では、目標原価と実際原価との差について分析をすることができます。
そして差異があった項目に対して要素単位での分析を行い、差異の内容を明確にすることが可能となっています。
その時点で起きている課題、問題点を明確にすることができるので、対応策を立てやすくなっています。

損益計算機能

予算を編成していくためにはまず損益計算書を出す必要があります。
その際には社内のさまざまな部門、部署が関係してくるので時間がかかることが多いのですが、損益計算機能を使えば、部署別、製品別などそれぞれから損益計算書を作成することができるので、時間をとらずに損益計算書を作成することができます。
すぐに損益計算書を作成することができれば、予算編成もスムーズにできるようになります。

配賦計算機能

この機能を使うことで部門間配賦や製品配賦で運営判断をしやすくすることができます。
定められた期間中の活動実績にもとづいて間接費や固定費など経営資源の再配賦を行うことができます。
これによって配分の適正化を行うことにつながります。

原価管理システム比較ポイント

原価管理システムを選んでいく際にはいくつかの選定ポイント、比較ポイントがあります。
ここではそれらのポイントを順に紹介していきます。

自社のシステムと連携できるものを選ぶ

原価管理システムはその性質上、製造部門や在庫部門などさまざまな部門や部署との連携が必要となります。
そのため、それぞれのシステムからデータを取得しやすくするために、それらのシステムと連携することができるかどうかということが重要となります。
自社のシステムと連携しやすいものを選ぶようにしましょう。

自社に合ったシステムを選ぶ

原価管理システムには色々な機能が備わっているのですが、基本となるのは「自社で使いやすいかどうか」ということです。
自社の従業員の希望や能力などを踏まえた上でシステムを選んでいかなければ、導入したものの誰も使わない、使えないということにもなりかねません。
現場スタッフが使うということを念頭において選ぶことが重要です。

導入目的をはっきりさせて選ぶ

原価管理システムを導入する際には「なぜ導入するのか」ということをはっきりさせておく必要があります。
会社の現状でこういった問題点があるから、それを解決するために導入するという選び方をしていくことで、その問題点を解決できる機能を持ったシステムを選ぶことができます。
自社の導入目的に合ったシステムを選ぶようにしましょう。

原価管理システム業界別のオススメ

原価管理システムのタイプは大まかに3種、「特定の業界向けツール」「プロジェクト管理向けツール」「汎用的なツール」に分類できます。
特定の業界として代表的なものは製造業と建設業が挙げられます。どちらの業界も原材料や製造コストといった項目が多岐にわたるため、業界の特性に合わせたサービスが多くなっています。

特定の業界向けツール

製造業の場合、工程別や製品別(品目別)によって必要な原価計算が異なります。工程別であれば、どの工程で原価が変化したのかを把握することで、コストアップに対応できます。製品別(品目別)であれば、原材料費の違いから生産性・収益性を分析できます。更に、労務費、減価償却費、資材費、加工費、修繕費などを配賦して原価計算できるという特徴もあります。

建設業の場合、案件ごとの原価管理や予算管理が必要です。規模や工期によって原材料費・人件費が変わるので、不足や無駄がなくコスト管理できることが重要です。物によっては支払い管理や回収管理の機能まで搭載されているシステムもあります。原価計算の際に「見積書や請求書が案件ごとに多方面から発行されるため、管理が難しい」、「発注や支払いがたくさんあって管理・把握しきれない」という場合に便利です。

プロジェクト管理向けツール

プロジェクト管理向けツールの場合、プロジェクト単位で発生する人件費や労務費などを把握できるような機能が搭載されています。これにより、プロジェクトメンバーの生産性やプロジェクトの採算性などを分析できます。また、顧客向けプロジェクトのほか、社内プロジェクトのコスト把握、収支管理にも使用可能です。多くのプロジェクトが同時に進行することが多い場合、是非活用してみてください。

汎用的なタイプ

汎用的な原価管理システムの場合、プロジェクト管理だけでなく、製造物の原価管理も行えるものがあります。複雑な配賦設定を必要としない場合や、複雑な工程ではない場合には、汎用性のあるシステムの方が導入・運用しやすいこともあります。シンプルな機能が搭載されることも多いため、このようなツール・システムに慣れていないユーザーにも使いやすいものとなっています。

原価管理システム導入メリット

原価管理システムを導入することでメリットが発生します。
ここでは導入メリットについて紹介していきます。

原価計算が容易になる

原価計算は計算方法も複数あり、関係部署も多く、入力しなければならないデータも多いということもあってとにかく複雑な業務となりがちです。
特にエクセルなどの表計算ソフトを使って手作業で行う場合にはかなりの時間と手間、労力がかかることとなります。
しかし原価管理システムの原価計算機能を使うことで、そういった問題を一気に解決することができます。
複数の計算方法にも対応しているので、迅速かつ正確に原価計算をすることができるようになります。

迅速に原価計算情報を出すことができる

原価計算の問題点は複雑なだけではなく、時間がかかるということにあります。
しかし原価管理システムを使って原価差異や損益計算書について分析、作成することができるために運営方針を決定するための情報を迅速に出すことが可能となります。
特に海外との取引が多い場合は、為替変動などによって原価計算が大きく変わることとなります。
そういった企業にとってはリアルタイムで情報を出すことができることは大きなメリットとなります。

シュミレーション機能で予測できる

原価管理システムの中にはシュミレーション機能が付いているものがあります。
この機能は取引先の急な変更、為替の急激な変動、原材料費の高騰などによって自社にどれだけの影響があるのかをシュミレーションできる機能です。
こちらも原価管理システムを導入する大きなメリットとなっています。

コスト削減できる可能性がある

原価管理システムではさまざまな機能が自動化されており、担当者は必要事項を入力したりするだけでデータを原価管理システムに登録することが可能となっています。
そのため担当者の労務コストを大きく削減できる可能性があります。
また登録しておいた番号などで必要な情報を出力することができるので、情報をすぐに出すことが可能です。

原価管理システム導入のデメリット

どのようなシステムにもメリットとデメリットが存在しています。
ここでは特に原価管理システムの導入の際に注意しなければならない点について紹介していきます。

選定するサービスを間違えるとまったく使えない

こういったシステムを導入する際には自社に合ったものを選ぶという注意点がありますが、原価管理システムの場合は、
・企業によって原価計算方法が違う
・連携しなければならない部署や部門が多い
という特徴があるため、自社に合っていないシステムを導入してしまうとまったく役に立たないということがあります。
費用だけが無駄にかかったり、余計に原価計算が複雑化してしまったり、作業が増えるということもあります。
選定時に自社に合ったものを選ぶということが重要だと言えるでしょう。

導入にはコストがかかる

導入してシステムを効率的に使えるようになってくると労務コストなどを削減できる可能性があるのですが、システム自体を導入する、毎月利用していくことについては費用がかかってきます。
特にオンプレミス型は導入時に多額の費用がかかりますし、クラウド型の場合は毎月の月額使用料やサポート費用などが発生することとなります。
そのため、導入する際には導入時にどれだけの費用がかかるのか、毎月のランニングコストはどれくらいなのかということに注意する必要があります。

原価管理システムまとめ

近年、急激な為替変動や原材料費の高騰などによって原価計算の重要性はますます高くなっています。
スムーズに経営をしていくためには正確で迅速な原価管理は欠かせないものとなっています。
効率的に原価管理をしていくために原価管理システムの導入は大きく役立つものとなります。
自社の問題点や課題を踏まえ、それを解決できるシステムを導入することが重要だと言えるでしょう。
まだ、導入をしていない場合は無料体験版やトライアル版などを使って、まずは試してみることをおすすめします。