給与前払い・給与即時払いシステムとは、従業員が給料日を待たずに、いつでもどこでも給料を受け取ることを可能にするクラウドサービスです。
特に従業員からのニーズが高いことから、近年最も注目を集めている福利厚生システムと言えます。
様々なライフイベントを始め、急な出費が生じることは多々あります。給与前払いシステムによって、好きなタイミングで給料を受け取れることが、職場を選ぶ1つの基準となってきています。
前払いをクラウドサービスで行うことで、計算等の手間も勿論省くことができます。
とは言え、手続きやシステム利用法の説明等、運用工数の負担、そして導入費用やセキュリティー等を懸念される人事・経理の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、給与前払いシステムの導入メリットや選定の基準、そして最新の給与前払いシステム一覧をご紹介致します!
給与前払いシステムとは?
給与前払いシステムとは、従業員が働いた分の給与を給料日を待たずに必要なタイミングで受け取ることができるというシステムです。最近、福利厚生施策の一つとして注目を集めています。
それぞれのライフステージ、ライフスタイルに伴った想定外の出費があったり、緊急でお金が必要になった場合でも、給与前払いシステムがあれば、いつでもどこでも給料日前にお金を受け取ることができるため、給与前払いシステムは従業員の生活の安心にも繋がるシステムです。その結果、企業への満足度や定着率の向上が期待できます。
以下からは給与前払いシステムの仕組みや導入のメリット、選定時のポイント、そして最新の給与前払いシステムをいくつかご紹介していきます。
給与前払いシステムが普及している背景
給与前払いシステムの導入により、手間をかけずに簡単に従業員に給与の前払いができるようになります。そのことで、従業員の満足度や企業への定着率が高まり、企業と従業員、お互いにとって良い効果がもたらされます。
また、近年、給与前払いシステムが福利厚生の一部としてあるかどうか判断する求職者も増えてきています。企業としての魅力を高める要素の一つになってきているといっても過言ではないでしょう。
いかに求職者に選んでもらうかという観点でみても、給与前払いシステムの導入は企業の改善に大きく寄与すると言えます。
給与前払いシステムの仕組み、主に2パターン!
基本的に給与前払いシステムでは、従業員からの申請を受け、サービスの提供会社を経由して給料を支払うという体系を取っていますが、経由の仕方も主に2種類に分類されます。
給与前払いシステムの代表的なタイプには、サービス提供会社への委託型と、サービス提供会社の立替型があります。
①サービス提供会社への委託型
~企業がサービス提供会社を通じて給料を支払う~
こちらは、予め給料分の費用を企業がサービス提携会社に預金する、または自社口座からの振り込み業務を委託して、自社払いを行うタイプです。
サービス提供会社が経由するものの、自社払いが可能なので賃金支払いの原則(労基法24条)にも抵触する可能性も低く、労使協定や賃金協定の変更もほとんど必要無い点が魅力です。
更に、システム利用手数料が掛からない、または少ない場合が多く、企業は勿論従業員の費用負担も軽減することが可能です。
一方、サービスによっては新た銀行口座の開設が求められることや、預金タイプの場合、預金が無くなると引き出しができなくなるため、その点の注意が必要です。
②サービス提供会社の立替型
~従業員が引き出した分の費用を提供会社が立替~
こちらは、従業員が引き出した給料分の費用をサービス提供会社が立て替え、企業に請求するという仕組みです。このサービスの導入費用は掛からないことが多く、前払い分の資金を用意する必要もありません。後で纏めて引き出された給料分の費用を支払うため、導入・管理しやすいシステムと言えます。
一方で、従業員は引き出す際に数%の費用負担が必要になります。
また、場合によっては賃金支払いの原則のうち、直接支払いの原則に抵触する可能性もあるため、導入に際しては労働契約・労使協定等の確認は十分にしておきましょう。
給与前払いシステム導入のメリット
福利厚生制度を大きく変えるクラウドサービスとだけあり、導入のメリットはたくさんあります!
先述の通り、企業の費用負担も大きく無いため、少ない費用で充実した福利厚生を実現可能と言えます。
ここでは、そのうちのいくつか代表的な例をご紹介致します。
①求人応募数大幅UP!
必要な時に給料を引き出せるのは、安心して働く上で重要なポイントの1つです。そのため特に若者を中心に、前払い・即時払いのシステムを導入している企業への応募数増加の傾向が見られます。
②離職率低下!
給与前払い・即時払いシステムの導入企業が増加してきている中、前払い制度の無い企業であると、給料日前の従業員の金銭的不安はより大きくなり、会社への不満に繋がりかねません。
このシステムの導入で離職率が低下し、エンゲージメントが向上してきたというデータも多いです。
離職率は採用やOJTの負担等、経営に直結する問題であるため、こうした問題に取り組むのに適したツールと言えます。
③給与支払の業務効率化
前払いとなると、会計や手続き、確認、振り込みといった経理・人事の方の作業は通常以上に負担となります。
一方、クラウドサービスを活用することで運用工数を減らすことが可能なので、企業にとってもメリットとなります。
給与前払いシステム導入の注意点
上記では給与前払いシステム導入のメリットに関して説明してきましたが、導入に際して、注意しておかなければならない点もいくつかあります。
以下では給与前払いシステムを導入するときの注意点を紹介します。
運用コストや手数料が高くなる場合がある
給与前払いシステムを導入する場合には、導入する企業とシステムを利用する従業員に負担がかかります。
企業側に関しては、まず従業員数に応じた月額費用を企業が負担しなければならないケースがほとんどです。場合によっては、企業が負担するサービス利用料が高額になるケースもあります。
従業員側に関しては、前払いを利用するにあたって手数料が発生することが挙げられます。この手数料はシステムによって異なっており、導入するシステムの提供形態によっては負担額が大きくなる場合もあります。
勤怠・給与データと連携しなければならない
給与前払いシステムを利用する場合は、勤怠状況の情報提供が重要になってくるため、勤怠データや給与データと連携する必要があります。
勤怠管理システムや給与計算システムを別で導入している場合には、連携することができるのかの確認が必要です。連携できないという場合は、利用した分を手動で給与データに反映させなくてはなりません。
従業員数が多ければ多いほど、作業が膨大になるため、余計にコストがかかる可能性があります。給与前払いシステムを導入する際には、既存のシステムと連携ができるのか確認をすることが重要です。
また、勤怠管理システムや給与計算システムを導入していない場合は、システムの導入から検討する必要があります。
給与前払いシステムを選ぶ際のポイント、基準は?
機能や費用等、システムによって様々です。
ここでは、選ぶ基準を何点か紹介致します。
①導入費用や手数料
初期費用や利用料等が比較的低いものが多い中、サービスによっては企業の負担が大きくなることがあります。セキュリティーの強度、使用法説明会等のサポート体制の手厚さ等を比較し、費用対効果が高いか等を確認しましょう。
また、手数料については従業員の負担となるため、特に検討の必要があります。せっかく前払いシステムを導入していても、手数料が高いと引き出しにくく、従業員満足度低下の一因にもなり得ます。
②提携銀行の数や種類
サービスによっては新たな口座、別の銀行との連携が求められます。
口座の開設も手間や時間を要するため、元々連携していた銀行の口座でも利用可能であるかは、システム選定基準の1つに加えることをお勧めします。
③従業員にとって使いやすい機能
特にアルバイトのように、様々な年齢層・国籍の方が従事する職場では、誰にとっても使いやすいシステムが求められます。近年では外国人の方も数多く働いていらっしゃるため、英語だけでなく中国語やベトナム語等、多言語対応のシステムが重宝されています。
給与前払いシステムは違法ではない?~貸金業との違い~
給与前払いシステムと貸金業
お金を貸す業務を行い、財務局や都道府県に登録をしている業者のことを「貸金業者」といいます。例えば、消費者金融やクレジットカード会社はそれにあたります。一方で、銀行や信用金庫、信用組合なども様々な融資を行っていますが、これらは貸金業者に含まれません。
貸金業を行うためには、登録をする必要があり、無登録のまま営業を行った場合罰則が適用されます。
給与前払いシステムは貸金業に該当するのか?
結論から申し上げると、給与前払いシステムは貸金業に該当しません。そのため、違法にはなりません。
しかしここで注意をしなければならない点があります。
それは、給与前払いシステムの運営元がお金を立て替えている場合についてです。企業が前払い分の給与を用意し従業員に前払いすることは法律上認められていて、貸金業登録も必要ありません。しかし、給与前払いシステムの運営元がお金を立て替えている場合は法律上「借金」をしていることになるので注意が必要です。
また、この場合、運営元は貸金業登録をしていなければいけません。中には、この貸金業登録を行っていないケースもあるため要注意です。
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