ビジネスシーンにおいて、取引先や顧客との契約を交わす上で、契約書の作成は非常に重要になります。
この契約書内に不備があれば、その後の事業に影響を及ぼすだけでなく、企業としての信用問題に発展する可能性もあります。
そのため、基本的には多くの企業が契約書の作成時には自社専属の顧問弁護士や法務部門などが事前に確認し、リスクを想定しながら修正などを行っております。

また、自社のひな型となる契約書が出来たとしても、契約先の企業や顧客がその契約内容に納得しなければ、別途調整を行いながら相手先と双方納得した契約書を作成していく必要もあります。この際にも、要望を加えた契約書を都度確認しながら最適な契約書を作成していきます。

このように、契約書を作成する業務は、ビジネスにおいて重要である一方で、非常に多くの手間や工数がかかるため、効率化を図りたい要望が多くあります。
そこで注目されてきたサービスが契約書レビューサービスとなります。
契約書レビューサービスとは、AIを活用することで自動的に契約書の内容をチェックすることができるサービスとなります。
自社にとって有利な内容か、不足している項目は無いかといったリーガルチェックを自動で行うことができるため、時間やコストを大幅に削減することが可能になります。

昨今では、働き方改革や新型コロナウイルスの影響などもあり、テレワーク(リモートワーク)化が進んでいます。
その中において契約書もSaaS形式で効率化を図ったり、AIを用いることで人的不備を軽減する動きが注目されています。
とはいえ、「契約書レビューって何?」「AIで本当に契約書のチェックができるの?」「どうやって進めればいいのか分からない」といった担当者も少なくありません。
そこで今回は、契約書レビューの概要から導入することのメリット・デメリット、サービスを選ぶ際の注意点などについて、ポイントを中心に紹介していきます。
また、いくつか資料のご紹介も行っておりますので、気になる資料があればダウンロードしてみてください。

契約書レビューとは

まずは、契約書レビューサービスの概要について紹介していきます。
契約書レビューサービスとは、契約書の作成作業にAIを活用した自動チェックを行うことで、自社にとって有利不利が無いか?不足している項目は無いか?誤った事項は無いか?などの契約書を作成する上でのリスクを可視化することができるサービスとなります。

契約書は、企業のひな型となる定型のものはあっても、全ての取引先企業や顧客にそれが当てはまるわけではありません。
契約を交わす双方にとって納得する契約書を締結するためには、契約書上ですり合わせを行う必要があります。
契約書締結後に齟齬が発生した場合には、トラブルや大きな損失につながる可能性もあるため、基本的には顧問弁護士や法務担当者が、事前に細かく内容を確認することが求められます。
とはいえ、毎回契約書の作成のたびにチェックを行うと、どうしても時間や人的コスト、チェック担当者の技量などが問われます。
そこで、AIによる契約書レビューサービスを活用することで、機械学習の特性を活かしつつ、契約書を高精度に確認し、業務効率化につなげることが可能になります。

契約書レビュー導入時メリット

続いて、契約書レビューサービスを導入する際のメリットについて紹介していきます。

①契約書チェックにおける負担軽減及び精度向上
まず挙げられるメリットは、契約書作成のチェック時における負担軽減と精度の向上です。
契約書の内容が正しいか、自社にとって不利が無いか等を確認することはリスクを回避する上で非常に重要になります。
とはいえ、チェックを目視で人が行うにはどうしても見落としや漏れといったミスが生じる可能性も存在します。
複数人でダブルチェックを行うにしても負担は大きく、その負担を軽減する上で契約書レビューサービスの導入は有効になります。
人間では気づかないような点も、AIであれば気づくことがあります。負担軽減とともに精度を向上させる上でも契約書レビューサービスを導入することは効果的です。

②契約締結までの工数・時間・コストの削減
従来であれば、契約書のチェックには顧問弁護士や法務部門に確認を依頼するケースが一般的になります。
その場合、チェック依頼から完了までには1週間程度時間を要することが多くなります。
これに対して契約書レビューサービスを活用すれば、チェックにかかる工数や時間、コストを大幅に削減することができるため、契約締結での業務を効率化させることが可能になります。

③属人化を防ぐとともにノウハウを蓄積
もう一つ、契約書レビューサービスを導入することで、自社に契約書に関するノウハウを蓄積させることが可能になります。
契約書の内容を担当者が把握せず、顧問弁護士や法務部門のみが理解している状態であると、予期せぬ事態に対応できる人材がいなかったり、スピードが遅くなる可能性があります。
一方で、契約書の内容理解とともにリスク管理を現場担当者が行っていれば、トラブル時の対応を効率化できるだけでなく、未然に防ぐことにもつながります。
契約書の内容は社内の業務を円滑に進める上で非常に重要な要素となります。俗人化を防ぎ、ノウハウを蓄積させることでリスク管理につなげる点も、契約書レビューサービスを導入するメリットとなります。

契約書レビュー導入時デメリット

一方で、契約書レビューサービスを導入ことにはメリット以外にデメリットも存在します。以下のデメリットは、これから導入を検討している場合には、注意点として考慮しておくと効果的です。

①対象となる契約書の種類が限定されている場合がある
契約書レビューサービスは、提供する企業によってサービス内容が異なるため、中には対象となる契約書の周囲によっては対応できない場合も存在します。例えば、秘密保持契約書のチェックには対応しているものの、業務委託契約書は対象外であったり、日本語の契約書には対応しているが、英文の契約書はチェックできないといった場合があります。
これは、提供する契約書レビューサービスのプランによって異なる場合もありますし、そもそも対応していない場合もあります。自社でよく利用する契約書の形式をふまえ、対応範囲をよく確認しておくことが重要です。

②ある程度の法律に関する知識が求められる
契約書レビューサービスを導入したとしても、全てをサービス側で賄えるというわけではありません。
法律の知識が乏しい場合には、サービスを使いこなせずに終わる場合も起こり得ます。
例えば、AIをもとに自社にとって不利な点を抽出し、条項や文言の変更案を提示いただいたとしても、それをもとにどう契約書に組み込むかといった最終的な判断は担当者に求められます。
これから契約書レビューサービスの導入を検討する際には、対応する担当者に一定の法的知識があるか、相談出来る環境が整っているのかなどを事前に確認しておくと効果的です。

契約書レビュー機能紹介

契約書レビューサービスには、主に以下の3つの機能が搭載されています。細かな機能やサービスは、サービスを提供する企業によって異なりますが、基本的な機能として参考にすると効果的です。

①契約書の自動チェック機能
自動チェック機能では、AIが自動で契約書の内容を確認し、自社にとって不利な条件や不足内容、誤り事項などを瞬時にチェックすることができます。
AIによって蓄積された膨大な契約書のデータの中から、対象の契約書と同じような内容を抽出し、契約後のリスクなどを加味して瞬時に比較することで、人間よりも早く精度の高いチェックを行うことが可能です。形式上のミスや漢字などの誤字脱字など、人間によるチェックではどうしてもミスは生じてしまいます。
判断が難しい条項なども、システムによって洗い出すことで、リスクを軽減させることが期待できます。

②修正・提案機能
契約書レビューサービスでは、①の自動チェックによって抽出された不足内容や誤り事項に対して、修正・追記するべき条項などを提案する機能も設けられています。ただ、どこまで修正・追記されるかは、各提供サービスによって異なりますので注意が必要です。
不足内容を指摘するだけのものや、代わりとなる条文や文言を例として提示してくれるもの、自社が過去に活用したひな形やテンプレートを引用するものなど、修正・提案機能の範囲はサービスによって異なります。

③条項の検索機能
新たに契約書を作成する上で、過去に作成した契約書から同様のひな型を引用することはよくあります。
その際に活用できる機能が条項の検索機能です。過去の契約書のデータをあらかじめ登録しておけば、新たに契約書を作成する際に必要な条項や文言を簡単に抽出することができるようになります。
また、作成した契約書を随時データベース上で管理することで、契約書レビューサービスを属人化させることなく社内で共有も可能になります。

契約書レビュー選定時のポイント

最後に、契約書レビューサービスを選定する際の注意点についても紹介していきます。契約書レビューサービスは、注目度の高まりもあり多くの企業がそれぞれ特性を活かしたサービスを展開しています。その中から、自社にとって効果的なサービスを導入していくためには、以下の点を考慮すると効果的です。

①対応可能な契約書の種類は何か?
デメリットの項目でも紹介したように、契約書レビューサービスには対応可能な契約書の種類や書式が限定されている場合があります。
そのため、対応範囲が狭いサービスを選択すると自社では全く使えずに終わる可能性も起こり得ます。
導入前には必ず一度自社が過去に作成した契約書を見直し、どういった種類が多いのか、どういった書式で構成しているのかを確認した上で、対応可能な契約書レビューサービスか判断すると効果的です。

②英文に対応しているか?
インターネットの普及やグローバル化の流れもあり、海外との取引は業種業態問わず一般的になりつつあります。このような中で、取引先との契約書も英文で対応しなければならないケースも少なくありません。
そのため、英文に対応した契約書レビューサービスかどうかも確認しておくと効果的です。
現在取引はなくとも、今後を見越して検討するといいでしょう。

③サポート体制は充実しているか?
こちらもデメリットで一部紹介したように、契約書レビューサービスはAIによって問題点の指摘や修正提案を行ってくれるものの、最終的には自社の担当者で判断する必要があります。
そのため、ある程度の法律知識がある担当者が、正しくサービスを使いこなすためには、サポート体制の充実度も重要な選定要素となります。
導入したものの使いこなせずに終わることが無いよう、サポート体制に関しても考慮しておくと効果的です。

契約書レビューのまとめ

いかがでしたでしょうか。
契約書のチェックは、一歩間違えれば企業にとって大きな損失につながるため、十分な確認が必要になります。
とはいえ契約書の内容を隅々まで細かく確認することは、人力では限界もあります。
そのような場合に、契約書レビューサービスを導入することで、精度を高めるとともに業務自体を効率化させることも可能になります。
今回紹介した内容も参考に、自社の目的に合った契約書レビューサービスを選定し、リスク回避とともに効率的な契約締結につなげていきましょう。