360度評価は、アメリカで生まれた新しい評価制度です。従来は上司が部下を評価するトップダウン形式での評価が主流でした。しかし、部下のことを十分に把握することは難しく、上司の評価が必ずしも正しいとは言えないという問題がありました。
360度評価は、上司だけでなく、同僚や部下、取引先など様々な人が多面的に評価を行う方式です。幅広い人間から評価を受けることで、その人の傾向や課題を見つけることが出来ます。

しかし、360度評価は従来の評価に比べて、格段に作業量が増えてしまうという問題点があります。そのため、なかなか360度評価に踏み切れない、という企業が少なくありません。
360度評価システムは、そのような問題を解決するサービスです。クラウドの特性を活かし、多くの作業を自動化・効率化させ、迅速で正確な評価を行えるようになりました。

この記事では、360度評価システムの特徴やメリットについて解説しています。従業員の成長、職場環境改善のきっかけになれば幸いです。

360度評価システムの特徴

360度評価システムは、クラウドの特性を活かして、迅速なやり取りと自動化を実現しました。ここでは、360度評価システムの代表的な特徴をご紹介します。

場所を選ばずに利用できる

360度評価システムは、インターネット環境さえあれば評価作業を行うことができます。インターネット環境さえあれば、ソフトウェアやアプリのインストールも不要です。非常に簡単に利用できるため、面倒な準備なしで作業を始められます。

通知や連絡を自動で行う

評価依頼や未回答者へのリマインドなど、負荷の高かった作業は不要になります。回答期間が始まると、システムは評価者へ一斉に通知を送信します。また、未回答者を自動で判別し、リマインドを送ることも可能です。毎日未提出者を確認し、リマインドを送るような作業は、すべてシステムに任せられます。
作業負荷の軽減により、今までかかっていた人件費の削減が期待できるでしょう。

評価をブラウザ上で確認できる

被評価者はWeb上で自身の結果を確認できます。システムから送信されたURLにアクセスするだけで確認できるので、紙ベースよりも受け渡しにかかる手間がかかりません。

また、従来の紙ベースでは、評価は一度見ただけでおしまい、という人も少なくありませんでした。一度机にしまった紙は、なかなか取り出す機会がないからです。クラウド上でいつでも確認できる状態だと、ふと気になった時にいつでも確認できます。振り返りのハードルが下がるというのも、360度評価システムの特徴です。

データの自動集計・レポート作成

評価を会社全体、部門全体で集計したレポートを作成できます。
回答の傾向などを分析することで、組織としての課題を見つけることが出来ます。

360度評価システムの導入目的

なんとなく良さそうだから、という動機でシステムを導入しても、思うような効果は得られません。企業が360度評価システムを導入する目的を、ここで確認しましょう。

多面的な評価で、正確な分析を行う

従来の上司から部下への一方的なトップダウンは、正確性に問題がありました。上司からの視点だけでは、被評価者の業務実体を把握しきれないからです。360度評価は、被評価者の同僚・部下・他部署など、より多くの人々からの評価を集めることで、評価の精度を高めることができます。

管理職の育成・行動改善

従来の人事評価は上司から部下への評価であったため、管理職の評価が難しいという問題がありました。360度評価は多面的な評価を行うため、部下や同僚などからの評価を受けることができます。
今までは見えていなかった自分の課題に気づくことで、今後の成長に繋げることができます。

職場環境の改善

360度評価はハラスメント対策としても活用できます。従来は上司が部下から評価されることはありませんでしたが、360度評価では、上司も周りの人々から評価を受けます。今まで見えづらかったハラスメントの実態を明らかにすることで、職場環境を改善できると期待されています。

360度評価システム導入時のメリット

360度評価システムは、クラウドを活かした様々なメリットがあります。代表的なものをご紹介します。

評価業務の負荷を大幅に軽減できる!

紙やエクセルベースで行う360度評価は、担当者にとって負荷の高い作業です。たとえば、評価業務担当者は、以下のような業務を行わなければなりません。
 ・評価者全員への評価依頼
 ・全体の進捗管理
 ・未提出者へのリマインド
 ・被評価者へのフィードバック
 ・レポート・集計資料作成

これらの業務の多くはルーチン化できるため、システム上で自動で行うことが出来ます。手作業では何十時間とかかる作業も、システムに任せれば数分で完了します。システム導入によって、担当者の負担軽減、人件費の削減が期待できるでしょう。

スマートフォンやタブレットで回答ができる!

エクセルやワードでの回答方式では、パソコンが必要不可欠でした。そのため、外出の多い従業員や、パソコンになかなか触れない人にとっては、評価作業を始めるハードルはとても高くなっていました。そのような状態だと、提出が先延ばしになり、期日ギリギリになってしまうことも少なくありません。

360度評価システムでは、インターネットにさえ繋がっていれば、スマートフォンやタブレットで作業ができます。場所を選ばずに利用できるので、作業を開始するハードルが大きく下がり、提出率の向上が期待できます。

過去のフィードバックもクラウド上で確認できる!

過去のデータをクラウド上に保存できるので、自分の評価を通年で見ることが出来ます。自分の過去の評価や目標達成の推移を見ることで、課題の調整やモチベーションアップに繋がります。

360度評価システム導入時のデメリット(注意点)

360度評価システムは、ただ導入するだけでは十分な効果は期待できません。導入前に注意すべき点をご紹介します。

システム導入前の周知が必要

360度システムの導入前に、社員に十分周知をしなければなりません。特に、360度評価が初めての場合は、研修を行うことも検討しましょう。
360度評価が初めての場合は、下記の項目を含んだ概要を説明すべきでしょう。
 ・360度評価の目的
 ・期待する回答の仕方
 ・どのように活用されるか
 ・360度評価の全体フロー

 システム導入に関しては、操作マニュアルがあるとよいでしょう。マニュアルには、下記の項目を最低限含んでいる必要があります。
  ・システムへのアクセス方法
  ・回答の方法
  ・フィードバックの確認方法

評価の活用方法をよく考えなければならない

システムを導入することで、多くのことが自動化されて業務がスムーズになります。しかし、システムにすべて任せていいというわけではありません。
フィードバック後の課題設定などは、人間が考えなければなりません。課題を自動で設定できるものも中にはありますが、システム任せではなく、人の目で確認することは必要です。

「システムを入れればなんとかなるだろう」という認識で運用を始めると、フィードバックについての理解がおざなりになってしまいます。結果、回答はあるが活用がうまくできないという事態に陥る危険があります。

360度評価については、講習を受けるなどして、目的や実施方法を正しく理解しておきましょう。サービスの中には、コンサルティングや研修を併せて提供しているものもあります。360度評価が初めての場合は、そのようなオプションの利用も検討しましょう。

360度評価システムの主な機能

360度評価システムに標準的に搭載されている機能を紹介します。これらの機能の使用感は、サービスを選ぶ上での重要な指標になります。

質問作成機能

評価シートの質問事項を作成できます。ほとんどのサービスには、あらかじめテンプレートが用意されています。そのため、スタンダードな質問にアレンジを加える形で利用するとよいでしょう。

評価依頼・リマインド機能

評価依頼をメールで自動通知できます。また、期日が近づいた時にリマインドを送るよう設定もできます。
今まで手作業だったことが自動化できるため、大幅な作業時間の短縮になります。

進捗把握

全体の進捗状況を、ひと目で把握できます。今までは受け取った評価シートを元に、進捗表を作成する必要がありました。360度評価システムでは、それらがすべて自動化されます。

レポート

評価を元にレポートを作成できます。個人・部門ごとに比較を行い、それぞれの傾向を可視化する属性比較なども可能です。

360度評価システム選ぶ際のポイント

360度評価システムを提供しているサービスは多岐に渡ります。それぞれに特徴があるので、自社に合ったものを選ぶ必要があります。
サービスを選ぶ際の大事なポイントをご紹介します。

作成されるレポートは自社に合っているか

レポートは個人・部門・自社の傾向を知るための貴重な資料になります。しかし、必要な情報が載っていなかったり、デザインが見づらかったりすると、レポートを十分に活用できません。
トライアルなどでレポートのデザインやカスタマイズ性を確認し、自社で利用している場面をイメージしてみましょう。

料金は適切か

 料金体型は大きく分けて2つあります。一つは従量課金制、もうひとつが固定課金制です。
 従量課金制は、ユーザーの数に比例して料金が決まります。利用する分だけ料金が発生するため、常に適切な料金で利用できます。固定課金制は、ユーザーの数に関係なく固定の料金が発生します。少人数で利用する場合は、従量課金制よりも割高になってしまいます。

その他、初期費用やサポート・コンサルティング料金が必要なサービスもあるので、自社に合ったプランを探すようにしましょう。

提供形態は自社で利用できるものか

360度評価システムはクラウド形式のため、利用できない環境はほとんどありません。しかし、セキュリティの関係で外部との接続が制限されている職場などでは、システムを利用できない場合があります。
その場合は、オンプレミス型を検討しましょう。オンプレミスは自社でサーバーを用意する必要がありますが、高いとセキュリティ性とカスタマイズ性を有しています。自社のネットワーク環境と必要なセキュリティ基準を踏まえて、サービスを選びましょう。

スマートフォンで利用可能か

評価作業はメインの業務に加えて行わなければならないため、どうしても作業負荷が高くなります。
スマートフォンで利用できれば、移動中などの細切れ時間を利用できるようになります。空いた時間を活用することで、他の業務の時間を圧迫せずに済みます。

 時間と場所を選ばずに評価が行えるようになれば、時間がなくてじっくり評価が書けなかった、という事態を避けることができます。

360度評価システムまとめ

 360度評価は、従来の評価よりも制度の高い評価を行うことができます。被評価者は自分を客観的に見ることで、課題や問題点を見つけることができます。しかし、従来の評価よりも多くの人間・作業工数を必要とするため、なかなか導入に踏み切れないという問題もありました。

 360度評価システムは、発生する事務作業を自動化することで、担当者や評価者の負担を最小限に抑えることができます。システムを活用することで、個々人の成長、職場の改善を促進できるでしょう。まずは、気になるサービスを見つけて、資料を読んでみることから始めてみましょう。