ビジネスシーンにおいて、様々な業務やワークフローが存在しますが、突き詰めると改善できる無駄や重複は存在します。多くの企業が日々の業務効率化を図る上で、ツールの導入や人員の配置などによって改善を試みていますが、WordやExcelのようなツールでは限界があります。BPM(ビジネスプロセスマネジメント)は、このような業務効率化に特化した手法の一つです。BPMシステムの導入は、企業の様々なビジネスシーンに応じた業務進行に大きな影響を与えるため、システムの定着や運用のためにポイントを押さえた導入を検討していく必要があります。
また、BPMと似通ったシステムとして、ワークフローやRPAといった手法もあります。いずれも企業内の業務効率化に特化したシステム・ツールとなりますが、このようなツールとBPMを混同している担当者も少なくありません。実際に、「BPMをどのように導入すればいいか分からない」「BPMとワークフロー、RPAの違いは何?」「具体的にBPMシステムを用いて企業内でどういった活用をすればいいの?」と悩まれる方も多くいます。そこで今回は、BPMの基本的な考え方やBPMシステムの活用メリットなど、ビジネスプロセスを可視化して業務効率化・生産性向上につなげるポイントについて紹介していきます。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは?在宅勤務増加で必要性向上!

そもそもBPMとはどういったものでしょうか?BPMとは、Business Process Management(ビジネスプロセスマネジメント)の略で、文字通りビジネス上の業務プロセスを管理していくことを指します。企業の中には、従業員をはじめ文書や各種データなど、ビジネスに関する知識や情報が多く蓄積されています。日々の業務においても、部門ごとに業務フローが細かく設定されており、ひと通り流れやルールがあります。これらの情報・知識や流れ・ルールなどを統合して管理し、可視化しながら改善を繰り返し最適化していくことが求められています。具体的には「目標設定から設計・改善」、「標準プロセスの承認・普及・展開・徹底」「定期的な監視」といったサイクルがBPMを運用していく上では存在し、これらを改善・最適化していく手法となります。ビジネスプロセスは企業によって異なり、且つオリジナル性が強い特性があります。それ故に、自社のビジネス上の効率化を図るだけでなく、他社との競争時においても重要なものとなります。

テレワークの増加で必要性が高まる理由

昨今では、働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、多くの企業がテレワーク(リモートワーク)による在宅勤務を推奨する動きになってきています。このような中で、従業員のモチベーション維持や業務をより可視化していくことが求められるようになり、BPMを導入することの必要性も増してきています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるプログラミング等を活用した業務自動化という手法もありますが、システム構築やツール導入には大きな工数やコストが必要になります。一方で、BPMは工数やコストを抑えた形で今までシステムが対象としなかった人の業務プロセスの標準化と管理の実現につなげることができるため、さらに注目度が高まっています。

BPMでもクラウドの活用は必須!具体的なツールとは?

BPMは、専用のシステムやツールを活用しなくとも実施することは可能です。ただ、その場合にはビジネスプロセスを可視化するために、手書きやWord、Excelといったツールを活用して構成する必要があります。このような手法でBPMを行った場合、手間がかかるだけでなく、担当者によって可視化手法がバラバラになり、事前のルールやフォーマットの構築や共有もしにくいデメリットが発生します。ビジネスプロセスの可視化が上手くいかない場合、そこから業務効率化を図ることも上手くいかなくなります。このような問題を解決するためには、やはりBPMをシステムやツールを活用した方が効果的です。昨今ではクラウドを活用したBPMシステム・ツールも多く登場してきています。BPMシステム・ツールにはBPMを効率的に行う機能が揃っており、簡単且つ高精度でビジネスプロセスを可視化することもできます。さらに、クラウドであれば担当者同士の共有もしやすく、可視化した後の業務効率化にもつなげやすくなるでしょう。

BPMとワークフローやRPAとの違いとは?

BPMの重要性を紹介する上で、似通った概念としてワークフローやRPAと混在してしまう担当者も少なくありません。ビジネスプロセスとワークフローは曖昧に感じるかもしれませんが、実は明確な違いが存在しています。ワークフローとは、様々な仕事を遂行する上で発生する承認や決裁の流れを明示したもののことを指します。これに対してビジネスプロセスは、事業プロセスや業務プロセスとも呼ばれ、ワークフローよりも広い業務の流れのことを指します。そのため、BPMの中にはワークフローの効率化も含まれ、大規模な業務の流れを効率化するものと理解しておくといいでしょう。
また、BPMと近しいRPAとは、先ほども紹介したように複数存在する作業工程の中で、ヒトでなくても処理できるような単純な処理を行う工程を、自動化することで効率化を図る手法のことを指します。そのため、BPMとRPAのすみわけとしては、複数の工程から構成される業務全体を可視化し、整理・管理することを BPMシステムによって効率化し、それぞれの工程の中で、ヒトを介さず自動化できる部分をRPAによって効率化すると理解すればいいでしょう。

各システムで実現できるメリットは?ビジネスプロセス可視化で業務効率化、 コスト削減!

続いて、BPMシステムを活用することで、どういったメリットがあるのでしょうか?ビジネスプロセスの可視化による業務効率化や、コスト削減などをBPM導入の代表的なメリットについて紹介していきます。
・業務標準化によるオペレーションコストの削減
企業の業務プロセスにおいては、各部門において多くの従業員が関わります。それぞれの業務を現場スタッフが違った方法で対応していれば、効率が落ちるだけでなく余計な時間やコストがかかってしまいます。このような状況をBPMシステムによって見直しを図り、効率化することで、ビジネスプロセスが円滑に進むだけでなく、余計なオペレーションコストも削減することにもつながります。
・新たなビジネスプロセスの追加や変更も簡単に可能
昨今のプロダクトライフサイクルの短期化により、ビジネスを取り巻く環境は常に動き続けるようになってきています。それにあわせ、ビジネスプロセスを新たに追加したり、今までの業務プロセスを変更する機会も多くあります。このような場合であっても、BPMシステムを導入しておけば、今まで標準化されていたプロセスを変更したり、新たなビジネスに応じてプロセスを追加することも容易に可能になります。
・業務改善に対する社内の意識改善
BPMシステムの導入は、業務効率化につなげるために社内の連携が欠かせません。企業全体で業務効率化に取り組む形になりますので、結果的に社内の業務改善に対する意識改革にもつながります。

BPMシステムの選び方・導入する際の注意点!~使用頻度や費用対効果から自社に最適なシステムを選ぶ!~

BPMシステムの導入は、先ほどふれたように多くのメリットがあります。ただ、注意頂きたい点としては、BPMシステムはあくまでビジネスプロセスを簡単に最適化するためのツールであり、導入したからといってビジネスプロセスが改善されるという訳ではありません。あくまで現状のフローを可視化することが本来の目的になりますので、可視化した現在のビジネスプロセスをもとに、最適化に向け改善につなげることが重要です。現在、BPMシステムを展開する企業も増えてきており、機能や特徴などは各BPMシステムを提供する企業によって異なります。機能などに応じて金額も様々なため、自社に合ったシステムを導入することが重要です。事前に自社の目的を明確にし、ライセンスフリーでトライアルとして活用できるものもありますので、自社のニーズにマッチするのか確認してみるのも効果的です。
BPMシステムの導入に際して、本来の目的を見失わないことは非常に大切です。ビジネスプロセスを改善するという目的を、社内の担当者だけでなく関連する業務スタッフがしっかりと理解していなければ、上手く可視化できなかったり、可視化できたりしたとしてもその結果をプロセスの改善につなげられないケースも起こり得ます。また、BPMシステムを導入したとして、全ての業務を一括で可視化し、最適化につなげることは非常に大変です。売上などによって事業の優先度をつけ、ボトルネックとなっているような事業を中心に改善に着手すると効果的です。全てを並行して着手すると、全体の方向性が曖昧になり、結果BPMシステムを使いこなせずに終わってしまうこともあります。BPMシステムの導入には、既存のビジネスプロセスを抜本的に見直す手法ですが、あれもこれもと手を広げ過ぎず、まずは現状で最優先すべき事業に対して改善を試みるといいでしょう。

トレンドのBPMシステムまとめ

いかがでしたでしょうか。
BPMシステムは、企業のビジネスプロセスを可視化し、継続的に改善を行う上で欠かせず、注目度も高まってきているツールとなります。ビジネスプロセスには、少しでも無駄や重複などが存在すると、積み重なって余計な工数やコスト増加につながります。どれだけ小さな問題があっても、社内の至る所で発生すれば年間で膨大なロスにつながり無視できません。そのため、ビジネスプロセスを可視化することは、業務効率化だけでなくオペレーションコストの削減など、非常に多くのメリットをもたらします。既存事業において業務プロセスの管理や改善に問題を抱えているのであれば、ぜひBPMシステムをもとに見直しを図るとともに、更なる改善を行い業務効率化につなげていきましょう。