営業などで外出することが多い会社では「ビジネスフォン」が利用されてきました。
しかし、ビジネスフォンには費用がかかる、設置の手間がかかるというデメリットもありました。
そこで最近注目を集めているのが「クラウド型ビジネスフォン」です。
ここではそんなクラウド型ビジネスフォンを導入する際のメリットやデメリットについて紹介していきたいと思います。
ビジネスフォン特徴や仕組み
近年注目されているクラウド型ビジネスフォンは「クラウドPBX」と呼ばれることもあります。
これはビジネスフォンで利用していた「内線」「外線」「転送」などの機能をインターネット回線を使って利用することができるものです。
もともと、ビジネスフォンを利用するためには電話交換機(PBX)を会社に設置し、電話回線を利用する必要がありました。
そのために初期費用がかかる、配線や設置の手間がかかるといったデメリットがありました。
しかし、クラウド型ビジネスフォンでは、そういった費用や手間のデメリットがなく、専門のオペレーターが常駐する必要もないのです。
運営している会社によってサービスが異なる場合はありますが、基本的な機能はどこも同じものとなっています。
それらの機能によって、多くの企業が導入をしてきています。
特に新型コロナウィルスなどによって加速した「在宅勤務」「テレワーク」によって電話業務を行うことができる企業、会社では多く導入されました。
営業電話が多い業種、コールセンターなどではその特性が一致したのです。
また、営業社員などに会社のスマホを貸与してきた会社にとってはクラウド型ビジネスフォンを導入することで、社員のスマホを使えるようになります。
今まで電話交換機を使っていた会社が新しい電話交換機に買い替えなければならない時などはクラウド型ビジネスフォンに切り替えやすいとも言えますし、オフィスを移転した際にも切り替えやすくなっています。
これからますます導入する企業は増えていくと考えられています。
ビジネスフォン導入のメリット
ではクラウド型ビジネスフォンを導入する際のメリットについて紹介していきます。
初期費用のコストカットが可能になる
従来のビジネスフォンを利用する場合には電話交換機を購入する必要がありました。
電話交換機は安価な小型タイプのものでも15~20万円ほどするために初期費用がかかっていました。
しかしクラウド型ビジネスフォンではインターネット回線を利用するために電話交換機を導入する必要がないので、その費用がかかりません。
また、電話交換機は購入すると会社に設置した上で電話回線の工事をする必要があります。
配線工事などを行うため、その工事費用がかかっていたのです。
これもクラウド型ビジネスフォンでは不要となります。
そして従来のビジネスフォンはその電話機本体の費用がかかってきました。
これも1台について数万円がかかっていたのですが、クラウド型ビジネスフォンは普段使用しているスマホやパソコンにアプリをインストールして利用するので本体購入の費用はかかりません。
そして、従来のビジネスフォンの場合はそういった設置工事などは予約した上で順番に行われていくこととなるので、利用したいと思ってもすぐに利用できるわけではありません。
しかし、クラウド型ビジネスフォンの場合はアプリを導入して設定すればすぐに利用することができるのですぐに使えるという利便性があります。
通話料のコストカットも可能になる
クラウド型ビジネスフォンでは利用している電話機、スマホ、パソコンをすべて内線でつなげることが可能となります。
そのため、在宅勤務や外出している社員への通話や、本社、支社、営業所などを問わずにどこの拠点でも内線扱いで通話をすることができます。
内線として通話しているため通話料が発生しないのです。
また、社外への電話については通話料はかかるのですが、インターネット回線を利用していることで従来の電話回線よりも安い通話料で利用することが可能となっています。
転送機能が必要なくなる
従来のビジネスフォンでは会社当てにかかってきた電話を外出先の電話機に転送するには転送機能を使って行う必要がありました。
しかしクラウド型ビジネスフォンでは、専用アプリをインストールしているスマホであれば、内線化することができるので、会社内にいなくても直接電話応対することが可能となっています。
また、外出先から取引先などに電話をする場合でも、設定しておいた会社の電話番号からかけることができるので相手先に個人のスマホの番号が表示されることがありません。
電話帳共有化が可能になる
それぞれ独立したビジネスフォンを利用している場合は、その電話機に登録した電話帳を利用することとなりますが、クラウド型ビジネスフォンでは個人が登録した番号だけでなく、共有の電話帳を利用することができるようになります。
電話番号を登録するだけでなく、編集や削除もできるので便利です。
また、よくかける番号をワンプッシュでかけるように設定したりすることも可能となっています。
ビジネスフォン導入デメリット(注意点)
利用するにはメリットの多いクラウド型ビジネスフォンですが、いくつか注意する点もあります。
ここでは利用する際に注意するべき点について紹介していきます。
月額料金を支払う必要がある
初期費用がかからなかったり、通話料を削減することができるクラウド型ビジネスフォンですが、まったく費用がかからないというわけではなく、月額使用料を支払う必要があります。
これは利用する運営会社によって変わってきますが、一般的には内線1回線あたり2000~3000円ほどの料金が多くなっています。
利用するサービスによっては電話番号が変わってしまう
利用するサービスによってはそれまで会社が使っていた電話番号が使用できないということがあります。
基本的には「光回線」を利用しているサービスでは電話番号を引き継ぐことができるのですが、「IP回線」を利用するサービスでは電話番号の引継ぎをすることができません。
今まで利用していた番号を使用したい場合は光回線を利用しているサービスを選ぶのが良いでしょう。
IP回線を利用しているクラウド型ビジネスフォンでは新規で電話番号を取得することになるのですが、その方法では「050」から始まるような番号になることが多くなっています。
こういったIP電話の番号に抵抗があるという場合には避けた方が良いかもしれません。
また、IP回線を利用しているクラウド型ビジネスフォンからは特殊番号に電話をかけることができないということがあります。
「警察:110」「消防や救急:119」「時報:117」などの番号にはかけることができないので、注意が必要です。
利用環境に不安があるサービスもある
利用するサービスによっては利用環境に不安がある場合があります。
通話中にノイズが入る、ハウリングしてしまう、音声が途切れるといった通話に関するトラブルが入ってしまうことがあるのです。
また、トラブルが起こった際にどういった対応をしてくれるかも運営会社によって違っています。
こういったトラブル対応、メンテナンスなどに力を入れている運営会社ではすぐに対応してくれたり、専門スタッフを派遣してくれたりします。
こういったサービスの管理、メンテナンスなどに力を入れている運営会社を選ぶのが良いでしょう。
ビジネスフォンを選ぶ際のポイント
クラウド型ビジネスフォンを選ぶ際には自社に合ったものを選ぶ必要があります。
ここではクラウド型ビジネスフォンを選ぶ際のポイントを紹介していきます。
まず、どれほどの規模で利用するつもりなのかということを考えなければいけません。
たいていのクラウド型ビジネスフォンのサービスは100名程度までの規模で利用するものとなっているので、数百名以上の人数が利用するような想定にはなっていません。
どれくらいの人数が利用するつもりなのかによって利用料金も変わってくるので、人数に適したものを選ぶ必要があると言えます。
小さい規模からの導入を考えている場合は、そこから拡大していくことができるかということもポイントとなります。
そういった拡張、拡大が可能なサービスがどうか押さえておきましょう。
もちろん、通話品質が良いかどうか、チャットなどの機能が備わっているかどうかということも重要です。
重要な電話連絡をしている際に音声が途切れたり、ノイズが入るという通話性能では話になりません。
また、電話機能だけでなく、チャットやメールなどの機能がついているものであればさらに利用しやすくなります。
他にもSMSなどと連携することができればさらに利用しやすくなりますし、自社のシステムと連携することができれば、自動で業務をすることができるようになる場合もあります。
どういった機能があれば、自社の業務効率を上げることができるかがサービスを選ぶ際の重要なポイントとなります。
ビジネスフォンの主な機能
クラウド型ビジネスフォンには通話機能以外にもさまざまな機能があります。
運営会社によって多少の違いはあるものの、たいていの基本的な機能は同じものとなっています。
デフォルトで備わっているものと、オプションで付く場合がありますので、それも確認しておきましょう。
主な機能を紹介していくと以下のようなものがあります。
・通話録音機能
・名刺管理ツール
・着信時の相手先情報表示機能
・グループウェア(共有)機能
・ネットFAX機能
・システム連携機能
・自動応答機能(IVR)
・留守番電話サービス機能
これらの他にも運営会社によって利用できるサービスがあるので、どういった機能を求めているのかをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
ビジネスフォンについてまとめ
クラウド型ビジネスフォンは従来のビジネスフォンと違って、「すぐに利用できる」「安く利用できる」「内線として利用できることでどの拠点でも使える」「災害などでオフィスに被害があった場合でも利用することができる」といったメリットが非常に大きいサービスです。
導入している企業も増えてきているので、これから導入しようと考えている場合はぜひ参考にしてみてください。