バーチャルオフィスは皆様御存知でしょうか。
これから起業をする方や、スタートアップを考えている方向けに、バーチャルオフィスの需要が注目されています。
ビジネスを行う上で、自宅を事務所とすることも多くありますが、ホームページなどに住所を明記する必要があり、防犯上の観点などで抵抗を感じるケースも少なくありません。とはいえ、住所が無ければ開業届や郵便物の受け取り以外にも、特定商取引法に抵触するため、自宅が難しければどこかオフィスを借りる必要があります。
レンタルオフィスやシェアオフィスといった形態もありますが、いずれも賃貸料はかかりますのでスタートアップ企業にとっては難しいのが実情です。このような際にバーチャルオフィスは効率的に展開できるため、注目度が高まっています。
近年では、働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、在宅でフリーランスとして働く方や、ネットビジネスを中心に生計を立てる方、副業を始める方などが増加してきています。このような個人の企業経営者にとっても、バーチャルオフィスは利便性が高く好まれるようになってきています。
ただ、バーチャルオフィスは2006年以降日本において注目されてきていますが、似通った言葉であるレンタルオフィスやシェアオフィスと混在して認識している方も少なくありません。実際に「バーチャルオフィスって何?」「レンタルオフィスやシェアオフィスと何が違うの?」「バーチャルオフィスを利用することでどういったメリットがあるの?」などと悩まれる方も多くいます。
そこで今回は、コロナ禍で注目度が高まるバーチャルオフィスの概要とあわせ、レンタルオフィスとの違いやメリットなどについてポイントを中心に紹介していきます。
バーチャルオフィスとは
そもそもバーチャルオフィス(virtual office)とは、直訳すると「仮想の事務所・オフィス」のことを指します。その名の通り物理的な場所を必要とせず、事務所は無いものの事務所と同じ機能を仮想空間の中で構築することが可能です。
バーチャルオフィスは、海外を中心にメジャーなビジネス手法の一つとなりますが、日本においては2006年頃から普及してきました。インターネット回線の発達や、スマートフォンの普及などにより、在宅で仕事を行うビジネスが増加した背景もあり、日本でもバーチャルオフィスを利用する経営者が増加傾向にあります。
バーチャルオフィスを利用する一番のメリットは、自宅以外に物件を借りなくても法人登記ができる点にあります。フリーランスのように個人で起業する方にとって、事務所を借りることはコスト面で大きなハードルになります。自宅を事務所として活用すればいいものの、業種業態によっては自宅兼事務所の住所を公開することが、防犯上不安と感じるケースは少なくありません。
バーチャルオフィスでは、実際に物件を借りることなく自宅とは別に住所を構えることができるため、特にスモールスタートを目指したり、個人でスタートアップ企業を立ち上げる方にとって好まれています。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違い
バーチャルオフィスと似通った形態に、レンタルオフィスがあります。バーチャルオフィスがレンタルオフィスと同義と捉える方も少なくありませんが、この2つは仕組みや用途が大きく異なります。
①バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスは、先ほどふれたように仮想の事務所のことを指します。会社を企業する上で、住所や電話などの設置は必要不可欠です。登記や開業届を行うことができません。オンラインショップなどネットビジネスを行う際には住所を明記しておくことは特定商取引法によって定められています。そのため、自宅を登録するか新たに事務所として活用する物件を探さなければなりません。
ただ、バーチャルオフィスであれば自宅とは別に住所登録することが可能です。郵便物の受け取りや電話の転送設定などにも対応しているため、仮想の事務所ではあるものの、実際のオフィスに近い形で活用することができます。
②レンタルオフィスとは?
一方で、レンタルオフィスとは実際に働く場所として実在する事務所をレンタルして利用できる仕組みのことを指します。物件を一から借りた場合、机や椅子、電話やネット環境、コピー機などを一から取り揃えなければなりません。
ただ、多くのレンタルオフィスでは備品として机や椅子、電話やネット環境が揃っているケースが多くなります。会議スペースやネット環境、コピー機なども共用ではあるものの、自由に使えるケースがほとんどのため、一から揃えなくてもすぐに事務所として活用することが可能になります。昨今では上記以外にもドリンクバーやジムなど様々な付加サービスを提供するレンタルオフィスも増加傾向にあります。
ちなみに、時間帯や期間、スペースに応じてレンタルした事務所を複数社で分けて利用するシェアオフィスも中身の仕様はレンタルオフィスと同じような形となります。
様々なサービスを受けられるため人気が集まっていますが、事務所を借りる以上、当然ながら毎月の賃料や保証金などが必要になります。低コストで借りられるレンタルオフィスも増加傾向にありますが、実在する以上バーチャルオフィスに比べて割高になる点が大きな違いになります。
バーチャルオフィスのメリット
ここまでバーチャルオフィスの概要について紹介してきましたが、続いてはそのメリットについてもう少し具体的に紹介していきます。バーチャルオフィスの活用には、主に以下のようなメリットが考えられます。
①イニシャルコストやランニングコストの削減
事務所を賃貸で借りる場合、イニシャルコストは非常に大きな負担となります。通常、敷金や礼金が数ヶ月分必要になり、賃貸業者によっては保証金が別途必要になる場合もあります。
特に、スタートアップ企業やこれから起業する場合には安定した収入を保証できるものが無いため保証金が高く取られる可能性も有ります。これらの費用を加味すると、エリアによっては事務所を借りるコストだけで1,000万円近くかかるかもしれません。
また、これらはあくまで事務所を借りるだけのコストとなります。事務所を借りることができれば、その後に必要な備品を用意する必要があります。テーブルや椅子は必須ですし、ネット環境や電話がなければビジネスを行うことはできません。これらを一から用意するだけでも費用が掛かります。このようにイニシャルコストだけでも相当なコストが必要になるだけでなく、その後の運用時にもランニングコストが必要になります。
一方、バーチャルオフィスを活用した場合、事務所は実在しませんので当然ながら敷金や礼金は必要ありません。もちろんテーブルや椅子といった備品を新たに揃える必要もありません。少額の保証金のみで利用することが可能なため、バーチャルオフィスであれば圧倒的にコストを安く抑えることができます。
②必要な分だけのコストで収まる
基本的にバーチャルオフィスでは、必要なものを必要な時に利用することができます。例えば、月一回のFAX利用や急な来客用の受付対応、電話がかかってきた場合の転送、年一回のセミナー会場の手配なども都度料金を追加で支払うだけで利用できるため、維持費やランニングコストも大幅に削減することが可能です。ビジネスにおいて余計なコストを軽減し、必要なものに集中投下できる点もバーチャルオフィスのメリットの一つとなります。
③自宅の住所を明記しなくても済む
バーチャルオフィスやレンタルオフィスを活用しなくとも、自宅を住所に登録すればビジネスを行うことは可能です。ただ、自宅を法人登記することは、世の中に自宅の住所を公開することになります。昨今では、SNSをはじめインターネットを介した住所特定による犯罪が少なからず発生しています。特に女性の経営者の場合、自宅の住所を公開することで犯罪に巻き込まれる可能性もあります。このようなプライバシーの保護や犯罪リスクの軽減の面においても、バーチャルオフィスの活用は効果的です。
④都内の住所を借りることでのブランディング
また、バーチャルオフィスの活用には、都内の住所を借りることで得られるブランディング効果もメリットとして挙げられます。起業したばかりの場合、いかに自社の信用を得て商材やサービスを購入・発注してもらうかが重要になります。
その上で、都内の住所という点は信用を得やすい傾向にあります。特に地方が悪いという訳ではありませんが、人間である以上、都内の会社なら信用できるという側面は少なからず存在します。そのため、売上向上や利益拡大につなげる上で、都内のバーチャルオフィスを活用し、ブランディング効果を得るという点もメリットの一つとなります。
⑤会議スペースの活用
ビジネスを行う以上、相手と直接打ち合わせを行う機会は少なくありません。昨今、テレワーク(リモートワーク)の増加に伴い、オンラインでの打ち合わせ機会も増加していますが、それでも対面の機会が0になることはありません。
あらかじめ決まった打ち合わせであれば、喫茶店やホテルなどを打ち合わせ場に活用するケースもありますが、急な場合には場所が確保できないこともあり得ます。バーチャルオフィスでは、このような場合に会議室を利用することも可能です。無料か有料かは提供するバーチャルオフィスによって異なりますが、基本的に会議室のサービスは用意されているため、急な対応であっても活用することができます。
このように、バーチャルオフィスを活用することには、コスト削減以外にも多くのメリットが存在します。フリーランスやスタートアップ企業にとってコスト削減は非常に大きなメリットになりますが、備品や会議室の利用やリスク管理、ブランディングなど様々なメリットから、通常の企業であってもバーチャルオフィスを利用するケースも増えています。
バーチャルオフィスを活用すべき企業とは
では、続いてバーチャルオフィスを利用するべき企業について紹介していきます。バーチャルオフィスには、先ほど紹介したメリットだけでなく、企業にとって向き不向きが存在します。これからバーチャルオフィスの活用を検討している場合、以下のポイントを押さえておくと効果的です。
①従業員が自分一人である場合
起業したばかりやフリーランスなどで従業員がまだいないのであれば、賃貸で事務所を構えたりレンタルオフィスを利用する必要はありません。従業員が働く場所を確保する必要はありませんので、バーチャルオフィスの活用がおすすめになります。起業したばかりの状況では、いかにコストを削減し、売上を確保するかが求められます。事務所を運営することはイニシャルコストもランニングコストも大幅に必要になります。ここに注力するよりは、まずバーチャルオフィスを活用し、運用資金を蓄えた方が効果的です。
②都内の住所をフル活用したい場合
業種業態によって異なりますが、一般的に都内に住所を構えた企業の信用度は高い傾向にあります。取引先や見込顧客は実際に住所が存在するか確認するケースは少なく、住所を見た段階で判断するため、具体的にそれがバーチャルオフィスか実在の事務所かは重要ではありません。そのため、メリットでもふれたように、バーチャルオフィスによって都内の住所を借りることはブランディングの面で大きな効果につながる可能性が高まります。東京ブランドをフル活用し、信用度とともにビジネスチャンスを増やす上でもバーチャルオフィスの活用は効果的です。
バーチャルオフィス比較ポイント
最後に、バーチャルオフィスを比較する上でのポイントについても紹介していきます。
個人事業主の増加やニーズの拡大に伴い、バーチャルオフィスも様々登場しています。ただ、バーチャルオフィスを活用する一番の目的は、自宅以外の住所活用とともにコストを大幅に削減することにありますので、費用面から検討していくと効果的です。自社がこれからビジネス展開していく上で、最低限用意しておく項目を明確にした上で、住所やアクセス状況とともに判断するといいでしょう。
また、バーチャルオフィスといえども、一度現地には足を運んで確認しておくと効果的です。受付スタッフの対応やオフィスの外観などは、その後のビジネスにも影響を与える可能性があります。安すぎるために質の悪いサービスを受けることもあり得ますので、費用とともに慎重に検討することが重要です。
バーチャルオフィスに関する資料のご紹介
ここまでバーチャルオフィスに関する比較のポイントやメリット等ご案内してまいりましたが、
ここからはクラウドレーダー内に掲載されているバーチャルオフィスに関連する資料をご紹介いたします。
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バーチャルオフィスまとめ
いかがでしたでしょうか。
バーチャルオフィスは、個人でフリーランスとして働いたり、これから起業をひかえた方向けに近年非常に注目されている仕組みです。レンタルオフィスとは異なり、物件を借りなくても住所を取得できる点が特徴ではありますが、それ以外にも多くのメリットが存在します。今回紹介した内容も参考に、バーチャルオフィスを効果的に活用し、ビジネスを円滑に進めていきましょう。