昔は会社から離れて出張先や自宅にいるとデータなどを見ることができないため、何も仕事ができないという状況でした。
しかし近年ではスマホ、タブレット端末、パソコンなどを使うことで社内のパソコンにインターネット接続することで自由に仕事ができるようになってきています。
そこでここでは、それを可能とする「リモートアクセス」のツールについて仕組みやメリットを紹介していきたいと思います。

リモートアクセスの仕組み

リモートアクセスツールを紹介する前に、そもそも「リモートアクセス」とは何なのかということについて紹介していきます。

リモートアクセスとは

リモートアクセスとは、外出先、出張先、自宅など会社から離れた場所からスマホ、パソコンなどの端末を使うことで、社内にあるパソコンやサーバーなどのネットワークに接続(アクセス)するということを意味しています。
このリモートアクセスを利用することで社内に居なくてもできる仕事の幅が大きく広がります。
また、システムを利用すれば社内から自宅のパソコンに接続するということも可能になります。
交通費や移動の時間の削減、テレワークの実用化、働き方の多様化に対応などさまざまなメリットがあるとして注目されています。

リモートアクセスの仕組みとは

リモートアクセスを利用できる環境にするためには、専用の製品を導入することで社外にある端末からリモートアクセスサーバーを経由した上で社内のネットワークにアクセスするという仕組みを作ることとなります。
主な接続方法としては4つの方法がありますので、それらについて紹介していきます。

VPN方式

一つ目の方法の「VPN」とは「Virtual Private Network」を略したものです。
インターネット上に仮想の専用ネットワークを構築し、そこを利用するというものになります。
この仕組みはある程度古くからあり、すでに20年近くの歴史があります。
この方法を利用する際には、VPNに対応したルーターなどのハードウェアを設置する必要があります。
こちらの方法はセキュリティ体制を整えているという特徴があり、盗聴や改ざんされないための防衛策として、データの送受信の際に仮想的なトンネルを作ってそこで通信を行う「トンネリング」という方法が利用されています。
さらにトンネル内に外部から悪意のある侵入があった際にデータを保護するために「カプセル化」が行われます。

画面転送方式

こちらはインターネット接続を通して社内にあるパソコンの画面を社外から接続している端末にそのまま画面転送するという方式です。
画面の転送を行う場合には、中継するサーバーを使って社内のパソコンと社外の端末との間でVPN通信を行います。

この方法ではルーターなどを利用して新しくネットワークを構築する必要がなく、すぐに利用できるため現在多く使われている方式となっています。
また、クライアントのパソコンなどに利用データが残らないため、情報漏えいしにくいというメリットもあります。

セキュアブラウザ方式

こちらは不正アクセスや情報漏洩防止対策を強化した「セキュアブラウザ」を用いることでクライアントのパソコンへのデータ保存禁止やフィルタリングを行うという方式です。
利用したデータが端末内に残らないという特徴があり、モバイル端末などを多く利用している企業などが情報漏えいを防ぐ方法として利用しています。

また、この方式は社内システムに対してアクセス制限をかけることができるので、パスワードなどが流出してしまった場合でもデータの盗難を防ぐことができます。
ただ、セキュリティを厳しくするほど利用できる機能が制限されるという特徴もあるので、そのバランスをとることが重要です。

API方式

インターネットを接続している環境からクラウド上で管理されているアプリケーションにアクセスすることで作業を行うことができる方式となっています。
それぞれのネットワークに負荷がかからないため、操作性が落ちないという長所があります。
こちらをうまく使えば、さまざまなアプリやwebサービスと連携することができ、幅広い作業を行うことが可能となります。

IIJ GIOリモートアクセスサービス/タイプAは、自宅や外出先などから、インターネット経由で社内ネットワークやIIJサービスへのアクセスを可能にする、高品質なクラウド型リモートアクセスサービスです。

https://cloud.media-radar.jp/detail650.html

セキュアリモートアクセス2 | ソフトバンク株式会社

セキュアリモートアクセス2とは、PCやiPhone、iPadなどから、インターネットを経由してソフトバンクのデータセンターやお客さま拠点へのリモートアクセスを実現するソフトバンクのリモートアクセスサービスです。
機器の運用はソフトバンクのデータセンターで行うため、お客さまは機器の構築や運用をすることなく、リモートアクセスやインターネットアクセスの環境を利用できます。
また、SmartVPN Webを利用することでリモートアクセスの各種設定を即時に行うことが可能です。

iPhone、iPadなどからのアクセスも可能
iPhone、iPad、Android端末用のVPNクライアントソフトを利用し、設定情報を入力するだけでインターネットからサーバセグメントへ接続できます。イントラネットの閲覧やグループウェアの連携を実現し、社外からでもメールやスケジュールのチェックなどが可能です。

認証サービス連携
ユーザIDとパスワードを利用した本人認証(RADIUS認証)や、PC、iPhone、iPad、Android端末に格納したクライアント証明書による端末認証(PKI認証)、マトリクス認証を利用した認証(ワンタイムパスワード)との連携が可能です。

高い拡張性と柔軟性
ソフトバンクのデータセンターに機器を設置しながらも、あたかもお客さま拠点で運用するように柔軟な構成・設定が可能です。小規模拠点から大規模なリモートアクセス環境まで、お客さまの規模に応じた最適な環境を構築できます。

冗長構成
東京と大阪でサイト冗長の構成で利用することができます。
障害で片系が落ちても、もう一方のサイトからアクセスできます。
※PCでの利用のみとなります。iPhoneなどでのスマートフォンではどちらかのサイトを選択していただく必要があります。
※東京、大阪サイトそれぞれに契約が必要となります。

SmartVPN Webからの設定
SmartVPN Webからプールアドレスやアクセスリストなどをお客さま自身で設定できるため、お客さまの環境変化に即時に対応可能です。
また、トラフィックやセッション情報を確認することができ、リソースの追加検討が容易となります。

https://cloud.media-radar.jp/detail689.html

ビデオカンファレンス | ソフトバンク株式会社

「ビデオカンファレンス」は、ソフトバンクのVPNサービス、各社インターネット、各社国内ISDNに対応したクラウド型会議サービスです。
接続には、Polycom(ポリコム)、Cisco、Sonyなどのテレビ会議(TV会議)専用端末をはじめ、iPhone、iPadも利用できるので、外出先からでも簡単にテレビ会議(TV会議)に参加できます。また複数拠点を結ぶテレビ会議(TV会議)から、メンバー間のコミュニケーションまで幅広いビジネスシーンで活用できます。

Point.1
テレビ会議(TV会議)の運用コストを抑制し、お客様の負荷を軽減
・多地点接続サーバ(MCU)の購入、ネットワーク設備の増強など、テレビ会議(TV会議)のシステムの構築・運用・保守にかかるさまざまな負担を削減できます。

Point.2
クラウド型テレビ会議(TV会議)ならではの拡張性
・利用拠点が増加しても、テレビ会議(TV会議)の多地点接続サーバ(MCU)やネットワークの帯域などのリソースを気にせず柔軟に対応可能です。

Point.3
iPhone、iPadからもテレビ会議(TV会議)に接続可能
・3G・4G回線、Wi-Fiのどちらにも対応しているので、さまざまなネットワーク環境でご利用可能です。またシンプルな操作性なので誰でも簡単にテレビ会議(TV会議)やWeb会議をご利用いただけます。さらにPolycom(ポリコム)、Sony、Ciscoなどの専用端末とiPhone、iPadを連携したテレビ会議(TV会議)も実現可能です。

Point.4
テレビ会議(TV会議)の専用端末からネットワークまで必要な環境を一元提供
・Polycom(ポリコム)のテレビ会議(TV会議)の専用端末、iPhone、iPadから、ネットワークの構築・運用・保守までソフトバンクが一元提供いたします。

Point.5
BCPやセキュリティ対策のニーズにお応えする信頼性の高いテレビ会議(TV会議) システム
・テレビ会議(TV会議)の多地点接続サーバ(MCU)は冗長化構成をとっており、堅ろうで信頼性の高いソフトバンクのデータセンターで運用しているので、災害時や事故などの予期せぬ事態が発生した場合でもテレビ会議(TV会議)、Web会議を実施できます。また接続方式はAES暗号化に対応しておりセキュリティ面でも安心してご利用可能です。

Point.6
専用ヘルプデスクによる24時間365日の運用サポート
・テレビ会議(TV会議)、Web会議 システムの操作方法など、24時間365日の体制でソフトバンクがサポートいたします。

Point.7
ネットワーク

・ネットワークには、クラウドサービスと高い親和性を持つVPNサービス「SmartVPN」をお勧めいたします。クラウドサービスとのシームレス接続、モバイル端末からのリモートアクセス機能などを備えております。

https://cloud.media-radar.jp/detail217.html

リモートアクセスツール導入メリット

こうしたリモートアクセスは広く普及してきており、導入には多くのメリットがあります。
そこでここではリモートアクセスの導入メリットについて紹介していきたいと思います。

在宅勤務に対応できる

新型コロナウィルスの流行に伴って急増した在宅勤務、テレワークですが、やはり在宅では仕事ができないという不便さもありました。
しかしリモートアクセスを利用することで会社に行かなくても自宅でできる業務というのが格段に増えたということがあります。
インターネット環境さえ整っていれば自宅でも仕事をすることが可能となったのです。

これは在宅勤務だけではなく、育児や自宅療養のために家を離れることができない、フルタイムでは仕事がしにくいという人にとっても働き方の幅が広がったことになります。
仕事の仕方の多様性という点でもリモートアクセスツールは大きなメリットとなるのです。

出張先、外出先からも仕事ができる

リモートアクセスを利用することで、自宅からだけではなく出張先や外出先からでも同じように仕事ができるようになっています。
特に会社から遠く離れた出張先などで、突然データが必要になった時などには大きな力となります。
出張が多い、外回りが多いという従業員にとって外からでも社内のデータを利用できるというのはメリットとなるのです。

労働環境の改善が図れる

リモートアクセスをうまく利用することで労働環境の改善を図ることもできます。
一部の人に仕事が集中することで、残業時間が長くなってしまうということがあるのですが、在宅勤務をしている人、自宅療養をしている人、家事や育児のためにフルタイムで働きにくかった人などがリモートアクセスを利用して仕事をすることで仕事量の分散化を図ることができるのです。

リモートアクセスツール導入デメリット

多くの企業が導入し、メリットも多いリモートアクセスツールですが、いくつかのデメリットや注意点もあります。
ここではそれらについて紹介をしていきます。

コストがかかる

業務効率向上ツールを利用する場合にはどうしてもコストがかかることとなります。
導入する際には購入費用や設置費用がかかりますし、毎月利用していく上で利用料金が発生してきます。
そのため、利用する際にはどれだけの予算を使うのかということを想定しておく必要があると言えます。

セキュリティ体制の構築が必要

社内のパソコンにあるデータを外部の端末から利用するわけですから、セキュリティ上の問題もあります。
クラウド上を介するタイプのものなどはそれだけ外部からの侵入も受けやすいということになります。
また、自宅にいる従業員がその端末を使って社内のデータを利用するわけですから、それぞれの端末へのセキュリティも必要となってきます。
利用している端末を雑に扱っていて、家族なども操作できるようになっているとそれだけ情報漏えいの可能性が高くなってしまうのです。
そのため、それぞれの端末に対するセキュリティ体制を構築するとともに、利用する従業員に対しても危機管理意識を持つ教育が必要となります。

リモートアクセスツール選ぶ際のポイント

リモートアクセスツールには4つの方式があるのですが、どれを選べば良いのかは会社によって基準が違ってきます。
そこでここではそれぞれの方式の特徴を見ることで、選ぶ際のポイントを紹介していきます。

VPN方式を選ぶ場合

例えば「IPsec-VPN」の方式を利用するのであれば既存の対応しているルーターなどをそのまま使って利用することができるので、費用を抑えることが可能となります。
コストを抑えてリモートアクセスを導入したいという会社におすすめです。
また、不特定多数の利用者が使う回線を避けて、セキュリティを強化したいという場合は、「IP-VPN」の利用もおすすめです。
専用ソフトのインストールをする必要がなく、手軽にすぐに利用したい場合は、「SSL-VPN」は運用管理面でおすすめのものとなっています。
比較的導入コストが低く、すぐに利用したいという場合はこちらの方式がおすすめです。

画面転送方式を選ぶ場合

こちらは新たにネットワークを構築する必要がなく、導入が簡単にできる方式です。
また、リモートアクセスに利用する端末のスペックに関係なく、社内の端末と同じ環境で作業ができるので、それぞれの端末のスペックに差がある場合などに重宝します。
さらにリモート側の端末には作業データは残らないので、セキュリティ面でも安全に利用することができます。
ただ、重いデータなどを使って作業する場合はインターネット環境によっては負荷が多くかかってしまい、操作性が悪くなるという可能性はあります。
どんな端末でも同じレベルで作業をしたい、すぐに利用できるようにしたい、という会社におすすめです。

セキュアブラウザ方式を選ぶ場合

こちらはセキュアブラウザを利用した操作だけを管理することになるので、リモート側の端末にデータが残らないというメリットと、スマホやタブレットでも操作しやすいというメリットがあります。
ただ、制限の掛け方が複雑だったり、これだけでは作業しきれない部分が出てしまうというデメリットもあります。
それらを踏まえた上で利用することが前提と言えるでしょう。

API方式を選ぶ場合

こちらはクラウド上で提供されているアプリに対して直接アクセスできるので、社内や社外を問わずスムーズにアクセスすることができます。
ただ、このアプリの開発には時間と手間がかかるので、それを踏まえて利用する必要があります。

リモートアクセスまとめ

働き方の多様性に対応する、業務効率を向上させるといったメリットがあるリモートアクセスツールは多くの企業が導入しているツールでもあります。
操作性を高めながら、セキュリティ体制を整えることで、安全で効率よく作業を行えるようになります。
基本的にはインターネット環境を整えることで利用できるようになりますので、ぜひ導入を検討してみましょう。