近年、勤務時間中に火事や地震などの災害が発生した場合に従業員が無事かどうかを把握する、安否確認システムが注目を集めています。
しかし、「安否確認システムって一体何?」「安否確認システムを導入するメリット・デメリットは?」といった疑問が出てくるのではないでしょうか。
そこで本記事では、安否確認システムの概要や特徴、導入するメリット・デメリット・ポイントについて解説します。
安否確認システムとは?
安否確認システムとは、従業員の安否確認に必要な連絡対応や集計・掲示板機能などが組み込まれたシステムのことです。あらゆるインフラが崩壊した場合でも、安否確認システムを活用することで、従業員の無事を確認できます。
また、安否確認システムによっては、従業員の安否確認と同時に別社員へ状況を共有可能です。個別指示ができるケースもあり、事前に設定しておいたBCPの初動につながるでしょう。
システムで確認可能!安否確認システム特長
安否確認システムの特徴は、大きく分けて以下の3つです。
1. 緊急時の迅速な情報共有
2. 確実な集計
3. 平常時の従業員管理
緊急時の迅速な情報共有
安否確認システムでは、インフラが整っていない緊急事態でも従業員に対して情報を共有できます。例えば、BCPの一環として「今後の事業方針について」や「被災拠点の業務割り振り」など、必要な情報を届けられるでしょう。
通常時であればメールやチャット・電話など、様々な手段で従業員に対して情報を伝えられます。しかし、緊急時はメールやチャットの内容が届いているのかわからないため、正しく状況を理解できません。
安否確認システムのメッセージ機能や掲示板機能を活用することで、重要な情報を正しく・迅速に届けられるでしょう。
確実な集計
災害が発生した際は、従業員の怪我の状態や通常通り出社できるのかなど、集計を取り今後の方針を決定する必要があります。電話やメールを利用して従業員一人ひとりに現状を確認していくのは非常に効率が悪く、手間や時間がかかるでしょう。
また、災害時はメールや電話などの通信手段が通常通りできない可能性もあるため、思うように安否確認が進まないケースもあります。しかし、安否確認システムを利用すれば、登録している従業員に対して自動で安否確認を実施します。
安否確認が取れるまで複数の媒体を活用して連絡が実行されるため、手間をかけることなく従業員の集計が取れるでしょう。
平常時の従業員管理
安否確認システムは、平常時も利用できる点が特徴です。多くのシステムに搭載されている情報共有や掲示板機能は、日頃の業務にも応用できます。また、従業員の健康状態を管理する際にも活用可能です。
例えば、毎朝従業員からの体温提出を求める場合、安否確認システムを利用すれば、自動で集計・登録できます。取得したデータは一次情報として社内で活用できるでしょう。
安否確認システム導入時のメリット
安否確認システムを導入するメリットは、大きく分けて以下の3つです。
1. 迅速に安否確認できる
2. 緊急時もコミュニケーションを取れる
3. BCP策定に組み込める
迅速に安否確認できる
安否確認システムを導入することで、緊急時では迅速に従業員の安否確認が可能です。地震や台風などの災害で従業員に被害が発生した場合、安否確認をスムーズに実施できないことがあります。
電話やメールも届かないケースもあるため、通常通り安否確認を進められないケースもあるでしょう。しかし、安否確認システムであれば、トラブル発生と同時に自動で安否確認を行い、連絡が付くまでメールを送信します。
そのため、迅速かつ確実にメールを届けられるでしょう。
緊急時もコミュニケーションを取れる
安否確認システムには、メールやチャットなどの連絡手段が搭載されているため、緊急時でも従業員とコミュニケーションが取れます。一方的に確認するのではなく、現場の具体的な状況を把握できるでしょう。
また、安否確認システムによっては家族を連絡先として登録できるため、被災現場から家族の安否確認も可能です。
BCP策定に組み込める
安否確認システムの導入は、BCPの策定に組み込めます。BCPとはBusiness Continuity Planの略で、日本語訳すると事業継続計画です。企業側は従業員の安否確認と運営事業に対しての被害状況や進捗を確認する必要があります。
安否確認システムには、自動集計機能が搭載されているため、被害状況を加味した上で、BCPの修正が可能です。
信頼性は?安否確認システム導入時のデメリット(注意点)
安否確認システムを導入する際のデメリットは、大きく分けて以下の2つです。
1. 個人情報登録に対する理解が必要
2. 利用方法の訓練
個人情報登録に対する理解が必要
安否確認システムを導入する際は、従業員の個人情報に対する理解が必要です。緊急時に取り扱う連絡先は、従業員の個人情報となります。そのため、従業員に対して個人情報の提出を強制しないようにしましょう。
また、従業員に個人情報の提出を求める際は、なぜ情報が必要なのか・集めた情報をどのように活用するのか、などの説明が必要です。さらに、登録した個人情報は、管理者以外に見られないようにしておきましょう。
安否管理システムによっては、従業員の電話番号・メールアドレスだけではなく、家族の情報も登録するケースがあります。登録した情報に関しては、細心の注意を払いながら管理しましょう。
利用方法の訓練
安否確認システムは、平常時に利用しないケースが多いです。導入後、従業員に対して利用方法の訓練・講習を実施しなければ、災害時に活用できない可能性があります。また、同時に安否確認のルールも確認しておくと、スムーズにシステムを活用できるでしょう。
さらに、定期的に災害時を想定した訓練を実施することで、実際に安否確認システムの利用方法を教育できます。安否確認システムによっては、平常時でも連絡ツールとして利用できることもありますので、自社に適したシステムを選びましょう。
なぜクラウド型?安否確認システムを選定時のポイント
安否確認システムを選ぶ際のポイントは、大きく分けて以下の4つです。
● クラウド型かどうか
● シンプルに操作できるか
● 稼働実績はあるか
● 多言語対応の有無
シンプルに操作できるか
安否確認システムを選定する際は、シンプルに操作できるかを確認しておきましょう。安否確認システムは災害発生時に利用するため、使用方法が複雑な場合、上手く使用できない可能性があります。
安否確認は迅速に実施する必要があるため、直感的に操作は非常に重要です。また、災害発生時は通常のインターネット回線・電力供給が期待できません。不測の事態にも耐えられる、安定した安否システムを選択しましょう。
クラウド型かどうか
安否確認システムを導入する際は、運用タイプを確認しておきましょう。オンプレミス型のシステムを導入する場合、自社でデータを保管するため、災害時にデータが破損してしまう可能性があります。
そのため、導入する安否確認システムはクラウド型がおすすめです。システムをスムーズに利用するためには、登録情報の閲覧が必要となります。クラウド型なら、災害時でもインターネットさえ繋げば、すぐに情報を確認できます。
稼働実績はあるか
安否確認システム導入時は、稼働実績の確認が重要です。直近で安否確認システムを利用した実績を確認することで、どのように活用されたか確認できます。できるだけ大規模地震・台風などの実績を確認しておくと良いでしょう。
多言語対応の有無
自社に外国籍の従業員がいる場合、多言語に対応した安否確認システムの選定が必要です。日本語・英語以外の言語に対応していなければ、該当スタッフに対して安否確認ができません。
また、外国籍スタッフの多い企業に導入されているか確認しておくと、より安心して導入できるでしょう。
安否確認システム事例や効果的な活用方法
安否確認システムを効果的に活用する方法は、以下の2つです。
1. 利用責任者を決定する
2. 定期的に訓練を実施する
利用責任者を決定する
安否確認システムを導入した後は、利用責任者を決定しておきましょう。従業員全員が自由に使える状態にしていては、個人情報が流失する危険性があります。責任者を定めておくことで、災害発生時に迅速な安否角印対応が可能です。
また、システム責任者は部署ごとに複数人設定しておくことで、いつ災害が発生しても対応できるでしょう。
定期的に訓練を実施する
安否確認システムを自社内で活用するためには、定期的な訓練が必要です。従業員全員による災害発生を想定した模擬訓練を実施することで、実践的な安否確認システムの利用方法を教育できます。
日頃からシステムに触れているか、触れていないかでは災害時の対応が大きく異なります。従業員がシステムの使い方や使い勝手を把握しておくことで、不足の事態にも備えられるでしょう。
フル活用しよう!安否確認システムの主な機能
安否確認システムに搭載されている機能は、大きく分けて以下の3つです。
● 自動配信機能
● 回答集計機能
● 掲示板機能
自動配信機能
自動配信機能とは、緊急時にあらかじめ設定しておいた連絡先にメッセージを送付する機能です。メールや電話など様々な連絡手段が存在しており、従業員に合わせて登録できます。
また、配信設定は非常だけではなく、平常時も利用可能です。従業員全員に通達したい内容がある場合にも役立つでしょう。
回答集計機能
回答集計機能とは、安否確認を実施した際に記載したURLフォームに回答してもらい、内容を集計する機能です。集計結果を確認することで、どの程度回答が返ってきていて、誰から返答がないか確認できます。
掲示板機能
掲示板機能とは、安否確認システム管理者が掲示板に情報を掲載し、従業員が閲覧できる機能です。災害発生時の状況説明や全体の指示を出せます。また、平常時でも重要事項の周知に活用できるでしょう。
安否確認システムのまとめ
以上、安否確認システムの概要や特徴、導入するメリット・デメリット・ポイントについて解説しました。安否確認システムを導入することで、緊急時でも迅速に従業員の安否を確認できます。
また、掲示板機能を活用すれば、平常時でも全体に情報を届けられます。BCPの初動対応にも繋がるため、気になる方は導入してみてはいかがでしょうか。