近年のグローバル化や、多様性を取り入れたダイバーシティの考え方によって、日本で働く外国人の数は増加傾向にあります。日本政府も2014年に外国人労働者の受け入れ拡大の方針を打ち出したことで、企業においても積極的に外国人の雇用に動く傾向が強まっています。そもそも日本は少子高齢化の影響もあり、労働者を外国人に頼る企業が増えていましたが、それに拍車をかけるように現在では外国人労働者の受け入れに積極的になってきています。
外国人の中には日本語に堪能な求職者も増えてきており、その点も外国人労働者増加の要因に考えられています。

とはいえ、いざ外国人の採用を考えたとしても、同求人募集すればいいのか分からない企業は少なくありません。
実際に「外国人採用をしたいけど、どこで募集すればいいかわからない」「優良な外国人はどう集めるの?」「どこで募集するのが効果的?」と悩まれる企業も多くいます。
このような企業に向け、外国人雇用のニーズに高まりもあり、近年では日本で働きたい外国人と外国人を雇いたい企業を上手くマッチングする外国人採用サイトも増えてきています。

ただ、外国人採用サイトも多岐に渡るため、自社の商材やサービスをふまえて選定していくことが求められています。そこで今回は、注目度が高まる外国人採用サイトについて、その概要やメリット、種類から活用方法までポイントを中心に紹介していきます。

外国人採用サイトとは?

外国人採用サイトとは、大きな括りでいうと求人サイトにカテゴライズされます。
求人サイトに限らず、採用方法にはフリーペーパーへの掲載をはじめ派遣会社や人材紹介会社への依頼、日本語学校や大学、外国人雇用サービスセンターの利用など、様々な手法が考えられますが、企業が求める人材を訴求し、採用につなげる上では求人サイトを活用する方法が一番効果的になります。

求人サイトとは、企業の求人情報を集めたポータルサイトのことを指しますが、外国人採用サイトとはこの中でも外国人求職者にターゲットを絞ったものを指します。
外国人採用に特化されていますので、通常の求人サイトに比べ日本に住む外国人にターゲティングが明確にされており、自社のニーズにマッチした優良な人材を採用しやすい利点があります。さらに、地域や業種、職種など様々な条件にもとづいて求人を探すことができるため、就職や転職を考える外国人側からも利用が一般的になってきています。

日本の外国人労働者の現状

続いて、日本における外国人労働者の現状についても紹介していきます。
人口減少や少子高齢化によって、日本国内の労働者不足は顕著になりつつあり、働き手としての外国人労働者に注目が集まっています。厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者の数は、2018年時点で146万人を突破しました。また、入管法の改正によって特定技能と呼ばれる新たな在留資格が新設されたことで、外国人が日本で働きやすい環境も整備されつつあり、今後も日本で働きたいと考える外国人は増加が見込まれています。

このような市場の流れを受け、外国人労働者に特化した採用サイトも多く登場し、外国人を採用したいと考える企業とマッチングさせる動きも活発化しています。従来であれば、アルバイト向けの専門誌に外国人特集が掲載される程度でしたが、外国人採用サイトの登場により、正社員向けやIT人材向け、パート専門など企業のニーズに最適化して採用サイトも多様化しつつあり、この点も外国人採用市場の活性化に起因しています。

外国人採用サイトの種類(分類)

企業が外国人雇用を考える上で活用する外国人採用サイトには、サイトのタイプや料金形態によって大きくは総合型、外国人特化型、職種特化型の3つに分類できます。それぞれの特長について紹介していきます。

・総合型外国人採用サイト
総合型の外国人採用サイトは、登録者の属性が幅広く、国籍や職種を問わず採用できるポータルサイトのことを指します。求人母数が多いため、様々な人材から募集につなげることができます。ほとんどが日本語ベースのサイトとなりますので、日本での生活に慣れた留学生や、日本の永住権を持った外国人などが登録している可能性が高く、採用面接もスムーズに行うことが可能です。

・外国人特化型採用サイト
外国人特化型の採用サイトは、外国人の人材だけに的を絞って採用できるポータルサイトのことを指します。現地での面接や採用までを代行している業者もあるため、日本国内の募集では採用できないような外国人に訴求をかけることが可能です。採用後の入国に際しても、ビザの確認や取得サポートなど、就労ビザ関係のサービスを提供しているところも多く、海外在住で今後日本での就職を考えている層にアプローチしたい場合にはおすすめの採用サイトとなります。

・職業特化型外国人採用サイト
職種特化型とは、その名の通り職種を絞った上で外国人の募集が行えるポータルサイトのことを指します。現在ではIT業やWeb関連、観光やホテル業界、介護職などに特化した外国人採用サイトが登場しています。資格の有無や過去の経験やスキルなど、専門性の高い人材や即戦力になる人材を採用したい企業にとってはおすすめの採用サイトとなります。

両者のニーズに合っている!外国人採用サイト導入時のメリット

外国人採用サイトを活用した求人は、日本で働きたい外国人と外国人を雇いたい企業を上手くマッチングする上で効果的な手法となります。
続いては、外国人採用サイト導入のメリットについて紹介していきます。

①企業の求める人材を探すことが可能
日本で働きたいと考える外国人にとって、外国人採用サイトは効果的に求人を探すことができるため、利用者も日々増加傾向にあります。
また、一般的に外国人採用サイトは日本語に加えて英語や中国語、韓国語など多言語対応しているケースが多く、外国人の目にふれる機会は多くなります。もちろん日本語に長けた外国人向けに、通訳や翻訳、接客業、事務といった職種や、ITエンジニアなど専門性やスキルを活かした求人も可能です。自社の商材やサービスに応じて求める人材に広くアプローチ出来る点は魅力の一つです。
②外国人労働者の採用についてのフォローも充実
企業側が外国人労働者を採用するにあたって、採用者の就労ビザの有無や滞在における法律やルールといった点を確認しなければなりません。
このあたりが面倒になり、外国人労働者の採用に踏み切れない企業も少なくありません。ただ、外国人採用サイトの中には、このような就労ビザに関する情報などのフォローをしてくれるサービスもあります。また、外国人労働者側にも履歴書・職務経歴書の書き方や銀行口座手続き、住居などサポートするサイトもあり、日本人以上にフォローが充実している点も魅力となります。

外国人採用サイト導入時の注意点

また、外国人採用サイトの導入には、先ほど紹介したようなメリットがある一方で、いくつか注意しておく点も存在します。
①採用コストが発生する
外国人採用サイトも求人サイトの一つですので、掲載には費用が掛かります。採用コストには、大きく期間指定型と採用に応じた成果報酬型の2つがありますが、一般的には期間指定型が多い傾向にあります。この期間指定型の場合、1ヵ月間掲載しても求人が0件の可能性もあるため、媒体を吟味し効果的に運用していくことが求められます。一方で成果報酬型であれば、採用に応じてコストが発生するため効率的に求人を行うことができますが、期間指定に比べてコストが高くなる傾向にありますので注意が必要です。
②外国人採用サイトの選定が重要
外国人採用サイトが増加している反面、その中でどのサイトを選んで求人を掲載していけばいいのか悩まれるケースは多くなります。ターゲットを絞った結果なかなか求人が集まらないことや、広く募集しすぎてマッチした採用につながらないことも起こり得ます。外国人採用サイトの選定にはある程度予備知識は必要になります。種類の項目で紹介したように、求人サイトのタイプをふまえ、自社のニーズと合わせて検討していくことが重要です。

外国人採用サイトの効果的な活用方法

続いて、いくつかのパターンに応じた外国人採用サイトの効果的な活用方法についても紹介していきます。
①多くの外国人からの求人を集めたい場合
新規事業における事務スタッフや、飲食店のオープニングスタッフなど、とにかく応募者数を集めたい場合には、外国人のアルバイトやパート採用を行うことは効果的です。日本人の働き手が減少する一方で、外国人留学生は増加傾向にあり、母数を増やしたい場合には外国人労働者は非常に有効です。このような場合には総合型外国人採用サイトを活用すると効果的です。
②日本人が集まりにくい職種の場合
また、業種・職種によっては日本人が集まりにくい条件というものも存在します。このような場合、外国人労働者は日本人に比べて比較的働く意欲が高く、アルバイトやパート業務であれば特にシフトも多く入れる傾向にあります。日本人が集まりにくい職種においては、働く意欲の高い外国人労働者に頼るというのも非常に効果的です。

幅広い雇用形態、外国人採用サイト選ぶ際のポイント

続いて、外国人採用サイトを選ぶ際に、注意したいポイントについても紹介していきます。多くの採用サイトがある中で、いかに自社のニーズにマッチしたサイトを選ぶことができるかが重要になります。その上で、以下の3つを踏まえて検討すると効果的です。
①ユーザー数だけに捉われない
外国人採用サイトに限らず、多くの求人サイトで登録ユーザー数を特長の一つに訴求していますが、必ずしも登録ユーザー数の多さが自社の採用につながるという訳ではありません。過去の登録ユーザーが含まれる場合もありますので、いかにアクティブなユーザー(求人を本気で探しているユーザー)が多いかがポイントになります。また、海外特化型の採用サイトであれば、海外在住のユーザーがどれだけ多くいるかも重要なポイントになります。そのため、単純に登録ユーザー数のみを参考にするのではなく、相対的に選定することが重要です。
②サービスやサポートの範囲を考慮する
外国人労働者の採用を行う場合、就労ビザの確認や取得などの事務手続きが必要になります。これは日本人の採用とは異なるため、企業として考慮しておく必要があります。外国人採用に不慣れであったり、初めて外国人労働者を採用したいと考える場合には、法律やルール面含めたサポートや関連するサービスが充実しているかも、採用サイトを選定する上で判断材料となります。

外国人採用サイトのまとめ

いかがでしたでしょうか。
少子高齢化をはじめ日本人の働き手が減少する中で、企業として外国人労働者を採用していくことは今後さらに求められてきます。そのような場合に、外国人採用サイトの活用は非常に重要になってきます。とはいえ、ただ闇雲に求人掲載しても優良な外国人労働者の採用にはつながりません。自社のニーズをもとに、今回紹介したような外国人採用サイトの特性をふまえ、効果的な人材採用につなげていきましょう。