物品管理は、企業運営をしていく上で必ず行わなければならないものです。
会社内には機材や備品、消耗品などさまざまなものが利用されています。
こうした物品を正しく管理することで、「どれだけあるのか」「誰が使用しているのか」といったことをはっきりさせていくことが可能となります。
さらに企業が所有している資産、リースしている資産などを管理することも重要となります。
しかし、手作業でこうした物品管理を行っていくのには大変な時間と手間がかかるだけでなく、人的ミスが起こりやすいという欠点もあります。
そこで活躍するのが「物品管理システム」です。
物品管理システムを利用することで効率よく物品管理を行うことができるようになります。
そこでここでは物品管理システムの機能や導入メリット、システムの選び方などについて紹介していきたいと思います。

物品管理システムとは

物品管理システムはその名前の通り、物品管理を効率的に行うことができるシステムです。
まずはこのシステムはどういったものなのか、物品管理とは何をするべきものなのかについて紹介していきます。

物品管理と在庫管理は何が違うのか

物品管理とよく似たものとして在庫管理があります。
簡単にいうと在庫管理は「商品」を管理するもので、物品管理は「社内の物品」を管理するものです。
企業がビジネスとして売ったり貸したりするための商品は在庫管理、自社内で利用されるようなものは物品管理だとも言えるでしょう。

物品管理システムで扱われる「物品」とは

物品管理システムで取り扱われる物品とは具体的には以下のようなものです。
・消耗品
一般的な企業でも文房具やプリンターのインク、トナーなどの消耗品が存在しています。
また、医療現場などでは医療消耗品などが日々多く使用されています。
こうした消耗品は不足すると企業運営に大きなダメージが発生してしまうため、正しく管理しておくことが重要となります。
それだけに消耗品を手作業で管理することは難しいこととなっています。

・機材
社内で利用されるだけでなく、社外に持ち出されるものもあります。
社員が利用しているスマートフォンやタブレットなどの端末機器、ノートパソコンやプロジェクターといったものがこれに当たります。
社外に持ち出されるものはそれだけ紛失のリスクも高くなりますので、「だれが」「いつ」利用しているのかを把握することが重要となるのです。

・備品
どういった業種の企業でも社内には莫大な数の備品が存在しています。
極端に言えば、机やイス、デスクトップパソコンなど社内にあるもののほとんどは備品と言っても良いほどです。
こうした大量の備品を手作業で管理していくのは大変な作業となります。
しかしここで物品管理システムを利用すれば、それぞれの備品にバーコードやタグをつけておくことで簡単に管理できるようになるのです。

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物品管理システムの主な機能とは

では物品管理を効率的に行うことができる物品管理システムにはどういった機能が備わっているのでしょうか。
ここではシステムの主な機能について紹介していきます。

物品情報の統合管理機能

こちらは物品を管理していく上での基本機能となります。
社内の備品などに対してバーコードやタグをつけて管理することで、必要に応じて検索をかけたり、その備品の登録されている情報を知ることができるようになります。
また、その物品を廃棄する際にはメール通知が来るように設定することも可能となっています。

棚卸、在庫管理機能

物品を情報データ化することでパソコンなどの画面上でリアルタイムで把握することができるようになっています。
さらに仕入れ先別や期間別に管理している物品を表示することもできるので、在庫管理がしやすくなります。

貸し出し管理機能

リース商品などを扱っている場合は、その商品などの情報についても管理できる機能です。
貸し出しについての日時や、返却の登録、返却の履歴などについても一覧で管理することができるようになっています。
また、返却期限が近づいてくると、利用ユーザーにメール通知を送ることができるようになっています。

物品管理システムの導入前の課題とは

物品管理システムの導入を考えている企業はどういった課題があって、どういった目的のために導入しているのでしょうか。
ここでは導入前の課題について紹介していきます。

必要な時に必要な物品がない

物品について正しく管理できていないために、誰がその物品を使用しているのか、いつまで使用するつもりなのかということがわからないということがあります。
そのため、その物品がどこにあるのか、使える状態にあるのかどうかがわからないことがあるのです。
やっと見つかっても壊れている場合などは修理しなければいけない、すぐに使いたい場合などは新しく購入しなければならないということもあります。

適切に利用されない、紛失が多い

持ち出しや貸し出しの記録が正しくされていないことで、プライベートな理由で備品を持ち出したり、他人に又貸ししたりするということがあります。
また、誰が借りたかわからないままで紛失されるということもあります。

棚卸が正しくされない、もしくは時間がかかる

会社全体で棚卸を正しくできていない場合などは部署やチーム単位で物品を持っている場合があり、その情報が共有化されていないと他の部署で重ねて購入してしまうということがあります。
また、普段から物品管理ができていないために、半年や一年に一度棚卸をしようとすると莫大な時間と手間がかかることとなります。
さらにこうして棚卸がされていないことで管理漏れがあったりすると監査の際に指摘や注意が入る場合があります。

物品管理がうまくいっていないとこれらの課題や問題が起こりやすいのです。
それらを解決するために物品管理システムを導入するということが多いのです。

物品管理システムを導入する目的とは

物品管理システムを導入する際には自社で抱えている課題を解決するために導入することが多いのですが、具体的にはどういった目的で行われるのでしょうか。
ここでは物品管理システムを導入する具体的な目的について紹介していきます。

数量を正しく把握するため

病院などの医療施設で物品管理システムを導入する目的として多いのは、医療消耗品などの過不足を管理することです。
医療行為を行う際に医療消耗品や不足していたり、医療機器などの備品が不足や故障していた場合は医療行為自体ができないということにつながります。
そのため、こういった物品の「数量」を正しく管理することが何よりも重要となるのです。

物品の所在を把握するため

会社内ではさまざまな備品が共有化されています。
そのため、貸し出し管理、持ち出し管理といったことが重要となってきます。
いつ、だれが、どれだけの期間で貸し出しをしているのかがあいまいになると紛失や返却し忘れといったことにつながっていきます。
こうなると必要な時にその備品が見つからないということになってしまうのです。
物品管理システムによっては、備品にICタグなどをつけることによって位置検索ができるようになっているものもあります。
また、これはレンタル業者などの場合にも利用できます。
だれに、どれだけの期間貸し出していて、いつ返却されるのかといったことを管理することが可能となるのです。

備品の状態を把握するため

会社が所有している備品や機材には耐用年数といったものが存在しています。
そのため、現品管理によって物品の状態を正しく把握する必要があります。
・耐用年数はどのくらいか
・いつまで使用、消費可能か
・現在使用できる状態であるか
・現在修理中ではないか
・故障してりして破棄したかどうか
こういった状態を正しく把握することでその備品が現在どういった状態なのかを知ることができるようになるのです。
さらに状態の管理ができていれば、貸し出した際に故障や破損があった場合にも責任の所在がはっきりすることとなります。

資産として物品を把握するため

物品管理されるような備品や機材などは会計上は会社の資産として扱われることとなります。
その備品が耐久消費財の場合は「減価償却」の対象ともなります。
そのため、備品の数が多い場合などは、それぞれの購入時期や現在の状態、廃棄するまでの状態、減価償却期間などを管理していくことは大変な負担となります。
こうした資産管理をするためにも物品管理が重要となるのです。

物品管理システムの効率的な利用の仕方

さまざまな目的のために利用されている物品管理システムですが、具体的にどのように利用していけば効率的に利用できるのでしょうか。
ここでは物品管理システムの効率的な利用の仕方を紹介していきます。

ベースとなる物品管理台帳を作成する

物品管理システムを利用して物品管理をしていくためには、まず物品管理台帳を作成してそこで管理をしていくこととなります。
台帳といっても実際には紙媒体のものではなく、データ上のものとなります。
ここの物品管理台帳において管理する備品の「物品名」「登録日」「購入日」「保管場所」「現在の状況」などを把握していくこととなります。

管理する備品にラベリングする

物品管理システムによって方法の違いはありますが、「バーコード」「タグ」などを備品につけて管理していくこととなります。
いちいち手作業で情報を入力したりする必要がなくなるものです。
何か移動や廃棄などをする際にはバーコードを読み取ることで、パソコン上で処理することが可能となります。

システムを使って定期的に棚卸を行う

物品管理システムを利用していても実際に備品を利用するのが人ですので、備品が故障したり紛失したりすることがあります。
定期的にシステムの棚卸機能を使って棚卸をしておくことで、常に正しく物品の管理ができるようになります。

システムの使い方や使用ルールを社員に周知する

これは物品管理システムを導入する前から導入した後にかけて続けて行わなければならないことです。
物品管理システムを導入したとしても、社員がそのシステムの使い方を知らない、物品管理のルールを知らないという状態ではシステムを正しく運用していくことはできません。
システムの使い方を研修や勉強会、マニュアル作成などを通じて周知していくことで物品管理システムを正しく利用していくことができるのです。

物品管理システムの導入メリットとは

では物品管理システムを導入することでどういったメリットがあるのでしょうか。
ここでは導入メリットについて具体的に紹介していきます。

担当者の負担を軽減できる

物品管理システムを導入することで、バーコードやタグを使って物品を管理することができるようになります。
それぞれの備品についての詳細な情報はデータベースに保存されることとなります。
何か備品についての情報を知りたい時にはデータベースを調べれば、その備品の現在の状況、利用状態などを調べるだけでなく、予約をすることも可能なので担当者の負担は大きく減ることとなります。

適切に備品が利用されることで無駄がなくなる

物品管理システムを導入することで、備品の無断使用や勝手な持ち出しを防ぐことが可能となります。
また、貸し出しされた備品についても決められた期限内に返却しなければならないという意識を持たせることもできます。
こうした適切な管理をすることで、乱暴な使い方を防ぐ、勝手な持ち出しを防ぐ、紛失を防ぐといったことが期待できるようになるのです。
これにより壊れた備品を修理したり、紛失のために再購入しなければならないといったことも防ぐことができます。

棚卸の簡潔化、正確な数量の管理ができる

手作業で備品を数えたりしていくのは大変な時間がかかるだけでなく、人的ミスも起こりやすいものとなります。
半年や一年ごとに棚卸をするとなると備品が多い企業などでは莫大な手間がかかることとなるでしょう。
しかし物品管理システムを導入することで、常に備品の状況を管理することができるため、大がかりな棚卸を手作業で行うという必要がありません。
消耗品などの数量もいちいち数える必要がないのも大きなメリットと言えます。

他のシステムとの連携が可能である

多くの物品管理システムでは資産管理システム、会計システムなどの他のシステムと連携することができるようになっています。
これらのシステムと連携することができれば、常に資産管理、コスト管理ができるようになるため適切な資産運用につなげることができます。
もちろん資産状況をレポート出力することもできますし、決算時期などにもその情報をそのまま利用することも可能となります。
会社運営や運営方針の決定にも大きく役立てることができるでしょう。

物品管理システムのタイプや種類について

物品管理システムには大きく分けるといくつかの種類があります。
ここではそのタイプ、種類について紹介していきます。

RFID対応タイプ

こちらはID情報などの情報データを記録したICタグなどの専用タグを備品に装着し、電波を使ってワイヤレス通信することで非接触で情報を識別したり管理することができる「RFID」に対応しているタイプとなっています。
多くの備品をまとめて管理したい、備品情報を一括管理したいという時に多く使われるタイプとなっています。
RFIDをすることで、備品から離れた位置からでも複数のICタグを一括で情報を読み取って識別できるようになります。
細かい消耗品などが入った段ボールなどの数量が多い商品の場合でも段ボール箱の外から情報を一括で読み取ることができるため、いちいち検品して在庫数を数えるといった手間が不要となります。
さらに出入口部分、必ず通る通路部分などにRFIDを設置しておいて自動的に情報を読み取るという使い方もできます。
個別に読み取り作業をしていく必要がないので便利です。

バーコード/QRコード対応タイプ

管理したい備品などがそれほど多くないという場合にはバーコードやQRコードに対応しているものがおすすめです。
「RFID」を利用する場合には専用のタグを準備しなければいけませんが、バーコードやQRコードは自分たちで発行することができるのでコスト削減になります。
発行したバーコードやQRコードラベルは備品に貼っていくことで利用できます。
読み取る際にはハンディターミナルやスマートフォンやタブレットなどの端末でも可能となっています。
低コストで効率よく備品を管理していきたいときに便利な方法だと言えます。

特定の業界や業種特化対応タイプ

医療現場などで物品管理を行う場合には、医療機器などの棚卸の管理だけではなく、医療材料の使用期限の管理、在庫管理などを行う必要があります。
医療用品、医療消耗品などのそれぞれの使用期限、購入履歴、在庫の過不足などについては重要度の高い情報管理となります。
そのため、こうした業界に特化したい場合にはその業界の利用に特化したタイプのシステムを選ぶのが効率的です。
医療業界に特化したシステムなどでは使用した医療材料が電子カルテシステムや医事会計システムなどに登録されているかを確認する機能が備わっているものもあります。

物品管理システムの選び方について

物品管理システムを選ぶ際には色々なシステムを比較して選んだりすることがあります。
そこでここでは物品管理システムを選ぶ際のポイント、選び方などについて紹介していきます。

自社の業務を効率化することができる機能が備わっているか

管理したい備品が多い際には最初に登録作業が大変なことになりがちです。
こうした際に自社で管理したい備品はどれだけなのか、自社が求めている機能をシステムが備えているのかということが重要となります。
システムの機能によってはスマホアプリで製品ラベルなどを読み取っていくことで情報を自動登録してくれる場合があります。
その他にも管理タグによって登録した情報データを入力、出力できるという機能が備わっているものもあります。
自社にどういった機能が必要なのかを考えて、その機能が備わっているシステムを選んでいくことが重要なのです。

スマートフォンやタブレットなどの端末に対応しているか

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使って棚卸ができるかどうかは重要なポイントなります。
システムによってはスマートフォンで棚卸をしたい備品を読み込んで数量を入力することで棚卸が可能となるものもありますし、バーコードをスマートフォンで読み取るだけで棚卸ができるものもあります。
専用の機器などを必要とせず、スマートフォンで利用することができるシステムが実際に利用していくには便利です。

導入しやすいシステムかどうか

システムを導入する際に専用の機器が必要となったり、社内で運用していくために従業員教育が多く必要になる場合にはコストや時間が多くかかることとなります。
すぐに導入したい、コストをあまりかけずに導入したいという時にはクラウド型の物品管理システムを選ぶのがおすすめです。
さらに管理項目のテンプレートやフォーマットが備わっているものであれば、だれでも気軽に利用できるでしょう。

自社の既存システムと連携できるか

こういった業務効率改善ツールには他のシステムと連携できるものとできないものがあります。
物品管理システムを会計システムや表計算システムなどの既存システムと連携することができれば財務管理などが簡単にできるようになります。
CSV形式で入出力することができれば基幹システムとの連動させることもできます。
そのため、物品管理システムを導入する際には既存のシステムと連携できるものかどうかを確認しておきましょう。

アラート通知機能があるかどうか

貸し出しなどの管理をしっかりしていても返却期限をうっかり忘れていたり、保守期限が過ぎているのに使用し続けてしまうということがあります。
そういった際には「アラート通知機能」があれば安心です。
貸し出し時に返却期日などを設定しておけば返却依頼の通知を送ることができます。
また、保守延長手続きの依頼通知なども対応可能です。
さらに在庫管理をしたいときに物品管理システムを利用している場合には、設定した在庫数を下回った時点でアラート通知をしてくれる機能が便利です。
この通知機能があれば在庫切れを起こしたり、発注をし忘れるということを未然に防ぐことが可能となります。

リース・レンタル対応機能があるかどうか

企業で物品のレンタルやリースを行っているという場合には、その備品や物品の在庫数だけでなく契約管理もできれば非常に効率的に業務をすることができます。
そういった場合には契約管理機能を備えているシステムがおすすめです。
システムの中には資産情報管理機能、棚卸機能だけではなく、リース・レンタルの資産情報・契約情報、割賦単位の設定までが可能となった機能を備えているものもあります。
リースやレンタルを行っているという企業には非常に有効的な機能だと言えるでしょう。

物品管理システムまとめ

物品管理を適切に行っていくことは企業運営に欠かせない作業となっています。
その作業の効率を大きく向上させてくれるのが物品管理システムです。
自社に適した物品管理システムを使用することで社内の備品を正しく管理でき、コスト削減をしていくことにつながります。
無料体験版、トライアル版を備えたシステムも多くありますので、まずはそれらを利用して自社に合ったシステムを探していくと効率よくシステムを利用していくことができるでしょう。